筆者は有料で家計・資産管理の助言・アドバイスをさせていただいています。
毎月、カード払いやキャッシングの返済で立ち行かなくなり、何とか今の赤字家計から脱出したいと思いたったことがきっかけで来られるお客様もいらっしゃいます。
今回は、最近、特に、このような赤字家計に悩むお客様が増えていますので、実際に、どのような解決策をとっているのかをご紹介させていただきます。

目次
本当に赤字であることを実感していただく作業からスタート
相談者は結婚歴の有無、子どもさんがいる、いないに関わらずシングル女性が圧倒的に多いです。
今回、解決したい家計赤字レベルは、収入はある程度ありますが、貯蓄ゼロ、クレジットカードからの借入あり、公共料金等の支払も滞納しがちな状態です。
毎月収入が入るとすぐ、カード返済や、生活資金にお金が消えてしまい、お金が足りなくなるとキャッシング等で補てんすることを繰り返してしまうのです。
なんとか、このような状態から脱出したいとの思いから勇気を出して問い合わせをいただき、解決先を見つける対応をさせていただいています。
解決策を見つける作業は、毎月、本当にお金が行き詰まってしまう状態が続いていることを実感していただくことからスタートします。
その具体的な方法は現金出納帳の作成です。
今後2か月程度のお金の流れを現金出納帳で確認。
現金出納帳といっても難しい作業ではなく、相談日から2か月後くらいまでの未来の、お小遣い帳を付けるイメージです。
貯蓄はゼロの方が多いので、相談日の日付から、今、お財布の中身を確認し現在の資金残高を記録します。
そして、細かな作業ですが、予想できる範囲内で日付ごとに支出と収入の予定を入れていきます。
とても単純な作業で「じゃ、明日は何に使いますか? 明後日は…」といった会話からスタートします。
支出項目は食費や最低限の生活費予算の確保、次にガソリン補充予定、請求がきている公共料金やカード支払い日等、細かく記録していきます。
お客様は相談に来ている段階で感覚的にお金に行き詰まっていることは分かっているのですが、ほとんどの方が、どの程度の深刻さかは分かっていません。
現金出納帳作成作業を始めると、たいてい10分もたたないうちに「早速、1週間後にはマイナスですね!」というように、お金が回っていない事実と向かい合っていただきます。
通常、赤字家計体質の方は、マイナスとなった時、ついついキャッシングに頼る発想になることも多いですが、この機会に悪い習慣をやめて、別の対応策を探ることを提案しています。
しかし、お金が足らない状況はなんとかしないといけないので、支払を後回しにできそうなものは後回しにする、家族の助けを借りる等の提案をしています。
支払いを後回しにするための各機関への問い合わせを、その場でやっていただくこともあります。

赤字家計の原因の大半は、収入の多寡ではなく使い方にある
ここまでのお話しは、ある程度、収入があるのに、赤字家計に陥っている方のお話しです。
収入レベルからは、貯蓄にもお金を回せるのではないかと感じることができるお客様です。
結局は、収入以上のお金を使ってしまって、その習慣から抜け出せないゆえに、赤字家計に陥ってしまったということです。
現金出納帳作成段階でお金の使い道を確認しますが、次のようなことをいわれる方は多いです。
「ストレス解消のためにどうしてもユーチューブ等を見たいので通信費が高くなる」
「光熱費もエアコンが我慢できなくって…」
「保険なんかも、勧められるまま入っちゃってそのままで…」
など
家計管理で苦労されている方なら、「私もそうだと!」ハッと思ったかもしれませんね。
これらの気になっているお金の使い道の多くは、少しでもストレスなく過ごすためにとの思いから発生しているのですが、ストレス解消のつもりが「赤字家計ストレス」になってしまっています。
「赤字家計ストレス」を解消するためには、これまでのストレス解消と思い使っていたお金の削減や、光熱費や保険等の見直しで解決の道が見えてきます。
支出の削減のために、これまでの楽しみを我慢していただくことになりますが、今、一番、苦しんでいる「家計赤字」から脱出できれば、一番のストレス解消となり、次の楽しみも見つかられる余裕もでてくるでしょう。
1人で抱え込まないことが赤字家計脱出成功のカギを握る
相談者の中には子どもさんに促されてくる方も多いです。
家族で問題意識を共有していることはとても有効で、このような、ご家庭はほぼ家計改善に成功しています。
また、相談する人がいない場合にはFPへの相談を活用してもいいでしょう。
いずれにせよ、赤字家計脱出のカギは1人で課題を抱え込まないことです。(執筆者:寺野 裕子)