2019年10月に予定されている、8%から10%への消費増税まで1年をきりました。
前回の増税と同様に、新築住宅などの「駆け込み需要」が予想されています。
同じ住宅購入でも「中古住宅」なら消費税がかからないと言われています。
日本の空き家率は過去最高を更新し続けており、空き家を再活用するのは国全体にとってもメリットに繋がります。
平成25年に国土交通省が実施した住宅・土地統計調査によると、
・空き家率は12.8%(別荘等の二次住宅を除く)で過去最高。
・空き家率は年々増えていて、平成30年の調査結果ではさらに増加が予想される。
お買い得で良好なイメージの中古住宅ですが、なにか落とし穴はないのでしょうか。
実は、購入時の条件によっては消費増税の影響を受ける場合があります。
また購入後にも意外な出費が待っているケースがあります。
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目次
売り主が不動産会社の場合には注意
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最近人気のある「リノベーション物件」ですが、消費税の点では注意が必要です。
不動産会社が中古住宅を買い取って再販売している場合には、建物部分に消費税がかかります。
土地は資本の移動であり消費ではないので、土地部分には消費税はかかりません。
新築時よりも建物の価格は下がっているケースが大半ですが、リフォームを施せば価値はいくらか復活しますので、支払う消費税の額もゼロとはなりません。
物件価格は税込み表示が基本なので一見わかりにくいのですが、不動産会社の設定する価格に増税の影響があるかもしれません。
また、売り主が個人の場合には消費税はかかりませんが、仲介する不動産会社に支払う仲介手数料には消費税が掛かりますので増税の影響を受けます。
※400万円を超える取引の場合
中古マンションは「安すぎる修繕積立金」に注意
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中古マンションを購入した場合には、ローン返済の他に「管理費」と「修繕積立金」の支払いが毎月必要となります。
修繕積立金とは
将来必要となる共有部分(外壁や共用廊下、配管、駐車場、エレベーターなど)の修繕のために、所有者らで作る管理組合が各戸から集め積み立てる資金。
毎月の徴収額は、新築時から30年以上経過するまでの長期修繕計画をもとに算定される。
この修繕積立金には3種類の徴収方法があります。
(2) 段階積み立て集金方式…毎月支払う修繕積立金を段階的にUPする
(3) 一時金徴収方式…修繕を実施する際に必要な費用を、一時的に各戸から徴収する
(2)や(3)の場合には、入居後に大きな出費が予想されます。
新築時に修繕積立金を安く設定し、広く入居者を集める販売手法を取っているマンションもありますが、最初が安ければ安いほど後の負担は大きくなります。
国土交通省が発表したガイドラインに照らし合わせてみると、将来支払う額が見えてきます。
※以下全て均等積立方式をとった場合の費用。専有床面積で計算します。
参考:マンションの修繕積立金に関するガイドライン 国土交通省 平成23年発表(pdf)
ライフラインにも最初のガタが来る頃
水回りや居室の劣化具合は以前の持ち主の使い方に大きく左右されますが、どんな使い方をしていても一定年数経過すると、どうしても取り換えが必要になるモノがあります。
ガス給湯器の寿命は通常10年程度と言われています。
見た目は程よくきれいで、価格的にもお買い得感の出てくる築10~15年は、実はガス給湯器の最初の交換時期でもあるのです。
ガス給湯器の価格は機種にもよりますが、20万~40万円にもなります。
古くなっても我慢して使えば良いというものでもなく、入居したばかりなのにお湯が出なくなった等のトラブルで、さっそく買い替えをする必要が出てくるかもしれません。
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筆者は築11年の中古マンションを購入して住んでいますが、実は上に挙げた事例は全て経験したものです。
どれも予備知識はなく、ローンの頭金に貯蓄の多くを使ってしまった直後の家計には痛い出費でした。
増税の駆け込み需要にとらわれず、冷静に判断できると良いですね。(執筆者:石田彩子)