今年最大のイベントであった11月の米国中間選挙を想定の範囲内で終え、年末から来年にかけて取るべき投資戦略は変わるのでしょうか?
ご存知の通り、日本株式の売買は7割が外国からの資金となっています。
よって世界経済、特に米国経済の動向が日本固有の材料より影響が大きくなります。
それらを踏まえ、今後取るべき投資戦略を2つご紹介します。
来るべき景気の転換点に備え、早めの行動をお勧めします。

目次
米国中間選挙を終え、何が変わるのか?
事実上のトランプ米国大統領の信任選挙であった議会選挙で、下院は敵方の民主党に過半数を奪われ、上院はかろうじてトランプ政権側の共和党が過半数を維持しました。
結果、ねじれ国会が今後2年間続くこととなり、トランプ政権が志向する政策がこれまで以上に滞ることが確実。
投資の目線では、どんな影響があるのでしょうか。
米国の経済成長が来年2019年に鈍化するかも
実業家上がりのトランプ大統領は、国内の経済活性化については良い政策を出しています。
減税しかり、2国間協定の見直しには米国内での生産比率を上げることで合意してきました。
が、それら政策は目先の経済活性化にはつながりますが、物価上昇にもつながっています。
現在では巡航速度ですが、一定の水準を超えると景気を冷やす方向に働き、「景気鈍化=株価下落」の流れに入ってしまいます。
また対外的な貿易戦争では、中国はじめ日本にも関税を武器に自国に有利な条件を引き出そうとしています。
これが世界経済の停滞を進めている側面もあるのですが、そこまでの長期目線で物事を決定していないのが、今のトランプ政権です。
2018年には表面化しませんでしたが、政策の悪い面が2019年には現実化し、経済成長は続くものの、伸び率の鈍化が始まり株価が下落する可能性があります。
米国のねじれ国会が意味するものとは?
米国議会での法案がスムーズに通らない状況では、大統領権限で決められる外交でポイントを稼ぐことをトランプ政権は考えると思われます。
具体的には中国への関税強化強行や、次にターゲットとなる欧州と日本への対応先鋭化です。
国内でも対外的にもスムーズな環境が作れないまま走らざるを得ない状況が、この中間選挙を踏まえた米国の今後の政治情勢と分析しています。
これまで以上に株価の値動きが大きくなる、難しい時代に突入しました。
では、一般の投資家が対処できる投資戦略はどうするべきでしょうか?

景気の転換点に備える、2大投資戦略
何がきっかけで株価(特に米国)が下落するかは分かりませんが、2019年中に始まることを想定しながら投資することが必要となってきます。
残念ながら、これまでのように上昇の波に乗っていれば良い環境から、安全策(面白みに欠ける投資手法)が良い選択となることも出てくると思います。
先ずは大きな流れを捉え、考え方を整理しましょう。
株式運用なら成長株(グロース)から割安株(バリュー)へ
これまで経済成長を基本として株価が上昇してきた成長株(グロース)が、既に頭打ちとなっています。
象徴的なのがFANGと呼ばれる米国4大ハイテク企業です。
日本でも半導体製造に携わっている企業の株価が頭打ちで、自動車など貿易戦争に巻き込まれる可能性が高い業種も株価上昇は抑えられています。
そんな中、企業業績も長く成長性は高くないものの、安定的な収益構造がある企業のうち、株価としては評価されていなかった割安株(バリュー)に注目が集まっています。
具体的には銀行、商社、薬局などの小売業は、成長株を売却した資金が集まってくる業種となります。
特に米国金利上昇を考えると、銀行株は仕込み時と思われます。
なお今年12/19に新規上場するソフトバンク株を買うため、他の日本株を売却する海外投資家が多くなっています。
米国中間選挙終了後から12/19までの期間は乱高下の幅が大きくなることが想定されています。
その下がったタイミング、具体的には日経平均225が2万1,000円前後の水準で、割安株を買えば、しばらくそのままで安心できます。
株式運用から債券運用への転換
景気が減速する前提であれば、株式運用は何を買っても難しいまたは負けることが多くなるでしょう。
そういった環境で値上りが期待できるのは、債券運用です。
具体的には国債や高格付け社債での運用に、今から切り替えることも一考です。
債券運用は株式のような値上がり益は狙えず、コツコツ利金を積み立てる運用手法ですが、これから中長期で運用を考えている方には、必要な選択肢だと思います。
なお日本の債券はマイナス金利政策のため、1%に満たない利回りしか出ません。
もう少しリスクが取れるのでリターンを数%欲しい、という方は外国債券を組み入れた投資信託を選ぶのも一考です。
一般投資家は予兆を感じた時点で早めに対処することをお勧め

相場には「もうはまだ、まだはもう」という格言があります。
もう底を打ったかなと思っても、その後も下がり続けることもあります。
まだと思っていたらスルスルッと上昇して買い場を失ってしまうこともあります。
プロでも山と谷の一番得するところで売買できないことを指しますが、一般投資家は予兆を感じた時点で早めに対処することをお勧めします。
「どこまで追いかけるか」は、各人の投資方針や相場をこまめにチェックできるかの度合いに依ると思われますし、強気の相場観を持っている方も居られます。
不安であれば投資しない、金融機関の勧めに乗らないと言った選択肢も長期運用には必要なタイミングがあります。
あまり深追いせず、「そこそこ」の結果を繰り返すことで、相場の波をしっかりと捉えましょう。(執筆者:中野 徹)