住宅ローンを借りている方も多いと思くいらっしゃると思います。
ある程度まとまった貯蓄があると、
・ 手元資金としてとっておくべきか
悩む場面もあるかと思います。
ちょうど、給与所得者の方は年末調整の時期にもなりますので、参考にしていただければと思います。
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目次
ローンの金利と運用利回りを比較
ここ10年くらい、国内の金利水準はかなり低いので、金利に対して大きな負担を感じている方は少ないと思います。
そうはいっても、借りている元本に対して金利をつけて返さないといけないことを「もったいない」と感じる方も多いでしょう。
そんなときに、ローンを繰上げ返済するべきかどうかの1つの基準になるのが、借入金利と手元資金の利回りの差です。
簡単にいうと、「借入金利 < 運用利回り」なら返済するより運用したほうが良い、「借入金利 > 運用利回り」なら返済したほうが良い、という話です。
とはいっても、ローンは家計にとって「負債」ですから、手元資金である「資産」を大きく減らしてしまうと、大きな債務超過状態になります。
ですから、運用は運用でも、FXや株の信用取引のようにハイリスクなものは避けて、低リスク~ミドルリスク程度の運用を検討してみると良いでしょう。
例えば、為替のリスクはありますが、米ドル建ての個人年金なんかは3%程度の利回りで運用できるものもあります。
住宅ローンの金利が1%程度なら、運用したほうがメリットがあるので、返済よりも運用という選択が賢いといえるのです。
どうしてもリスクをとった運用が許容できないという方は、定期預金等で0.01~0.05%くらいの運用利回りを見込むのが精一杯ですので、その場合は繰上げ返済をして少しでも返済額を抑えるのが良いでしょう。
住宅ローン控除の適用額に注意
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住宅ローンを借りた年から10年間、年末のローン残高の1%が所得税から控除されます。
給与所得者の方は年末調整の際に毎年証明書を提出しますので、利用中の方はご存知かと思います。
繰り上げ返済をすると、その分年末のローン残高が減少しますので、軽減できる税額も少なくなります。
特に借入金利が1%未満の方は、このローン控除があることによって、いわゆる「逆ザヤ」状態でローンを借りられているので、繰り上げ返済によってそれがデメリットとなる場合もあります。
ローンが月賦返済なので、厳密にはよく計算をしないといけないのですが、簡単に申し上げると、
ということになるのです。
「住宅ローン控除を適用する前の税額」<「年末残高の1%」の場合は、控除しきれていない税額があります。
控除前税額の100倍まで、ローン残高がキープできれば、それ以上の部分は繰上げ返済しても、ローン控除のメリットに影響はありません。
ただし、ローン控除の残りの年数にも注意が必要です。
借入れ初年から10年後までずっと控除率は1%なので、10年後まで満額の控除をたっぷりと受けたい場合は、ローン控除適用最終年の年末残高を、控除前税額の100倍以上にしておく必要があるのです。
控除前税額30万円の方であれば、ローン残高3,000万円以上なら、所得税を実質ゼロにできます。
年収や扶養控除等の諸条件が大きく変わっていないのであれば、昨年の源泉徴収票や確定申告書の控えを確認して、どこまでローン残高を残しておくのが自分にとって良いのかを検討してから繰上げ返済をするようにしてください。
団体信用生命保険があること
もう一つ検討しないといけないのは、住宅ローンに付随している団体信用生命保険。
債務者が死亡する、一定の障害を負う等したときにその時点での住宅ローンがのがゼロになるというもの。
万一の際にローンがチャラになるということは、ローン残高分の生命保険に加入しているのと同じです。
繰上げ返済をすると、その分保険効果が減ることにもなりますので、とくに働き盛り世代とか、子供にお金がかかる世代の場合は、なるべく残高を残しておいて、手元資金が残っているほうが安心かもしれません。その点もよく検討してみてください。

債務と資産のバランスが整っていれば、借金があること自体が悪いことではない
ローンは借金ですから、なるべく負いたくないという気持ちもあるかと思います。
しかし、債務と資産のバランスが整っていれば、借金があること自体が悪いことではありませんし、さまざまな制度も利用できます。
「返したい」という気持ちだけでなく、諸条件をよく理解して「損得」を考え、自分にとってメリットのある返済計画を立てましょう。(執筆者:鈴木 みゆき)