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離婚後の親権

夫婦が離婚する場合、母親が親権を持つのは全体の8割(平成10年、厚生労働省・母子家庭に関する調査)です。
このように「どちらが最愛の子を引き取るのか」を決める場面で父親が圧倒的に不利なのですが、とはいえ、父親が親権を持つ確率はゼロではなく、全体の2割です。
父親がどんなに悪あがきをしても、親権獲得は期待できそうもありませんが、父親が子供を引き取ることに成功した「2割」とは、どのようなケースなのでしょうか?
統計における平均値ではなく現場における実体験の方が参考になるでしょう。
母親が親権をあきらめ、父親が親権を持つことになったケースを紹介
夫:横溝拓也(36歳)→ 会社員(年収600万円)相談者
妻:横溝麻衣子(34歳)→ 専業主婦
長女:横溝葵(5歳)→ 横溝夫婦の娘
*家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)
今回の相談者・横溝拓也(36歳)はそんなふうに嘆きます。
拓也さんの妻は、不倫デートに夢中で帰りが遅くなっていました。
拓也さんが注意したにも関わらず、妻の男遊びはますますエスカレートしていました。
男の家に入りびたり、男の家から幼稚園へ向かうようになり、シャンプーやリンスの残り香を漂わせているので同級生の母親や先生からもイヤな顔をされていました。
堪忍袋の緒が切れる夫
ついに、妻に対して強い口調で言いました。
しかし妻は逆ギレで大声を出し、モノを投げつけ「離婚してやる!」と家を出て行ったのです。
拓也さんはそう振り返ります。
母親なのだから娘を置いたまま戻ってこないなんてあり得ない…しばらくして頭を冷やしたら帰ってくるだろうと少し楽観していたようです。
妻の行き先は…
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不倫相手の家でした。
拓也さんは離婚を決意しました。
長女の親権はどちらに?
離婚の話し合いで拓也さんと麻衣子さん、どちらが親権を持つのかを決めなければなりません。
麻衣子さんは「娘を引き取りたい」とは言わず、消去法で拓也さんが親権を持ちました。
こうして拓也さんは、娘と一緒に暮らしています。
親権は「消去法」で決めることが多い
統計上、全体の8割は「妻が親権を持つ」のですが、その背景には、ほとんどのケースで
という事情が存在するので、別居を経由して離婚する場合、夫は圧倒的に不利なのです。
別居中、夫が子供を引き取っているなら、妻が実力行使で子供を連れ戻すことは難しく、離婚後もそのまま夫が親権を持ち、子供を育てていく結果になりやすいです。
離婚後、父親が子供の親権を持つのは、かなり特殊なケースです。
父親が優れた人間だから、親権を勝ち取れたのではなく、母親が育児に向かない人間だから、他に面倒を見ることができるのは父親しかいないという消去法的な決め方です。
父親としては親権を取りたいがために、そのような悲劇が自分に降かかって欲しいと願うのは本末転倒なので、あまり期待すべきことではありません。(執筆者:露木 幸彦)