今年も残りわずかとなりました。給与所得者の方は会社の総務担当の方から、年末調整のために以下3種類の用紙が各人に配布されます。
(1) 平成31年分・扶養控除等(異動)申告書
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(2) 平成30年分・配偶者控除等申告書
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(3) 平成30年分・保険料控除申告書
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昨年まで2枚だった書類が今年は3枚に増え、毎年の事ながらどうやって記入するのか四苦八苦の方も多いのではないかと思います。
今回はすべての事例を網羅できませんが、給与所得者の一般的な事例を中心に年末調整でできる事、確定申告すべき事などを解説します。
目次
1. 年末調整
正社員に限らずパートやアルバイト、派遣社員など給与所得のある方は、毎月の給与や半年ごとに支払われる賞与については、扶養家族の人数や社会保険料の金額を考慮の上、源泉徴収という形で当年分の所得税が毎月「概算」で控除されています。
年末に今年1月~12月までの給与が確定した時点で年間の所得税を「確定」させ、1月から「概算」で源泉徴収してきた所得税の累計と比較して、過不足を還付や不足分を徴収することにより「精算」します。
年の途中で転職した人も、前職の源泉徴収票を取り寄せて、会社に提出することにより合算して年間の給与総額を確定し年末調整ができます。
今年転職した方は前職の源泉徴収票が必要ですが、退職時にもらえる場合や、退職後に年末調整の時期に合わせて郵送してくれる場合、請求しないともらえない場合もあります。
本来は確定申告すべきところを会社で年末調整をすることによって、確定申告は不要です。
毎年3月の確定申告時に自営業者等に混じって、多数の給与所得者が税務署に押し寄せることが無いようにするための制度ともいえます。
年末調整でできる各種所得控除
・基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、社会保険料控除、勤労学生控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除、地震保険料控除(旧長期損害保険料控除含む)
・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除) ⇒ 2年目以降(初年度は確定申告が必要です)
2. 確定申告
確定申告は給与所得を含む10種類の全ての所得を合算して年間の所得を計算して、それに対する税額を自分で計算して申告・納税する事です。
大多数の給与所得の方は年末調整で所得税額が確定しますので、確定申告の必要はありません。
a.確定申告が必要な方(給与所得者)
給与所得者でも次のような方は確定申告の義務があります。
・高額所得者【給与の収入が2,000万円超】
・給与を1ケ所から受けており、給与や退職金以外の副収入による所得の合計が20万円超(不動産の譲渡・貸付や株式配当、年金収入、原稿料・講演料収入など)
・同時に2ケ所以上の会社から給与収入がありその給与の全額が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与収入と退職金以外の所得との合計額が20万円超の方
・その他
b.確定申告の必要はないが、したほうが良い方(給与所得者)
次のような場合は確定申告の義務はありませんが、払った所得税の還付などを受けられる可能性があります。
・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用がある ⇒ 初年度は確定申告
・年末調整でできる各種控除を証明書不足などで受けられなかった
・医療費控除、寄付金控除、雑損控除などの適用がある
・再就職先で年末調整に間に合わず、できなかった
・給与以外の副収入が20万円以下で源泉徴収税額がある
・20万円以下の株の配当がある
・その他
3. わからないことがあるときは総務担当へ
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年末調整でよくある質問が、医療費控除と住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)です。
医療費控除は年末調整ではなく確定申告、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は初年度は確定申告、2年目からは年末調整で還付を受ける事ができます。
その他、生命保険料控除証明書を紛失、前職の源泉徴収票が退職した会社からもらえない等、どうすればいいのか分からない事もあります。
そんな時は一人で悩まず会社の総務担当に相談して下さい。
聞くことは恥ずかしい事でもなく、遠慮することもありません、丁寧に教えてくれるはずです。(執筆者:後藤 誠道)