2018年は、7月に行われた日銀の政策変更により、長期金利が多少上昇し、結果的に長期金利に連動する長期固定金利も多少上昇しました。
しかし、ここまで低金利であるにもかかわらず、物件価格の高騰などもあり、新規需要はそこまで盛り上がらず、借り換え需要も一段落した感じです。
2019年は、10月に消費税率10%への引き上げが予定されており、駆け込み需要が想定されますが、その後の反動も考えると、駆け込み需要に踊らされないようにしたい所です。
今回は、変動金利と長期固定金利に別けて、まずは変動金利を中心に、2019年の住宅ローン金利動向を解説していきたいと思います。
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目次
変動金利が決まる仕組み
まず変動金利が決まる仕組みですが、これは、銀行の貸し出し金利である短期プライムレート(優良企業向けの1年以内の貸出金利)に連動する仕組みになっています。
そして、その短期プライムレートはさらに、日銀の政策金利に連動する仕組みになっています。
従って、変動金利の今後の動きを見ていくには、日銀の政策金利に注目すれば良いということになります。
そして、この政策金利は約2か月に1度開かれる、日銀の金融政策決定会合で引き上げや引き下げが決定されます。
現在の所、日銀のゼロ金利政策、マイナス金利政策と金利引き下げの政策が続いているため、短期プライムレートは2009年1月13日以降、年1.475%で据え置かれています。
2019年の変動金利は…
では、この政策金利が今後どうなるかですが、日銀は2%程度の物価上昇率を達成するまでは、マイナス金利政策を続ける考えを明確にしました。
そして、2019年も物価上昇率は2%以下で推移しそうなため、日銀がマイナス金利政策を継続する可能性が高く、現在の変動金利の水準は長期化するものと考えられます。
一方で、短期プライムレートが変化していないのですから、本来の変動金利の水準はもっと高いままのはずです。
しかし、銀行同士の金利優遇競争が激化して、現在の最優遇金利は0.5%を切る水準まで低下しています。
ただし、これ以上の金利引き下げは、銀行としても利ざやが取れないため、難しいというのが現状で、今後は疾病保障などさまざまなサービスを組み合わせて、総合的に判断するのが良いでしょう。
住宅ローンの返済期間が短い方などは、金利変動リスクはあるものの、銀行の金利優遇競争のおかげでここまで低下している、今の変動金利をうまく活用していただけたらと思います。
長期固定金利が決まる仕組み
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長期固定金利の簡単な仕組みからです。
長期固定金利は各銀行が債券市場という、国債を売買する市場金利を目安に金利設定します。
しかし、債券市場も市場ですから、有利に金利設定できるときもあれば、そうでないときもあります。
その代表的な指標となるのが、一番市場規模の大きい10年物国債の値段です。
そして、この値段の利回りを長期金利と呼ぶのが一般的です。
国債も債券ですが、債券というのは基本的に利回りが決まっているので、国債の値段が上昇すれば相対的に利回りは低下、下落すれば利回りは上昇ということになります。
そして、日本や世界の景気が良くなれば、国債よりも儲かる株式市場にお金が流れますので、国債の値段が下がり金利は上昇。
景気が悪くなれば、国債の値段が上がり金利は低下します。
さらに、これ以外に国債の値段が変動する要因として、日本という国の信頼が無くなった場合、国債を持っていては危険ですから、国債が売られ金利が上昇します。(財政再建懸念など)
また、現在は日銀が長期金利の上昇を押さえ込むために、政府が発行した国債を日銀が買い入れる、国債買い入れオペを強化しています。
この結果、株価と長期金利との連動性が薄れ、長期金利の動向は日銀頼みが強まっている点には、注意する必要があります。
2019年の長期固定金利は…

2019年の長期固定金利は、日銀の動向と米長期金利に注意する必要があります。
日銀がもっとも重視しているのは、2%の物価上昇率が達成され景気がインフレ気味になることですが、ここまで株価や企業業績が回復しても2%の物価上昇率は未達のままです。
この原因として、日銀が日本の少子高齢社会という現実を、直視していないのではないかと考えられます。
昔であればインフレになっていた所、現在は将来不安が全世代にあり、全ての分野に渡って需要が供給を上回りインフレになるという構図は描ききれません。
これは民間エコノミストも同調しているのですが、日銀だけは先送りを続けており、いずれ2%の物価上昇率を達成するとしています。
この姿勢が続く限り、長期金利は現在の水準を維持するものの、今年のように政策変更が行われた場合は、長期金利が上昇する可能性もあります。
一方で、米経済は好調でFRB(連邦準備制度理事会)は来年も数回、利上げを行う見通しです。
これにより、米長期金利が上昇する可能性が高く、日本の長期金利も連れ高しやすくなります。
将来的に長期金利の上昇を織り込む動きも出てくるかもしれませんが、現在の所は、長期固定金利はほぼ横ばいの可能性がもっとも高いと考えています。
まとめ
このように2019年も基本的には今年の流れを引き継ぎ、低金利が継続するものと考えられます。
2019年も無理のない資金計画で、この低金利を活用して頂けたらと思います。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)