最近何かと話題になることが多い不動産投資。
自己資金が潤沢な人を除けば、不動産投資には銀行融資が必要不可欠です。
今回は、不動産投資で代表的なアパートローンの融資審査を例にして、
これを6回に分けて説明していきます。
昨今、銀行の不正融資問題で、不動産投資の融資に関して悪いイメージが広がっています。
何がいけなかったのか? どこが間違っていたのか?
こうした問題点を理解するためにも、ぜひ参考にしてください。
第1回 年齢:アパートローンに年齢制限はない?
第2回 動機:アパートローンを借りる目的~不動産投資か? 相続・土地活用対策か?
第3回 収支:アパートの収支、利回りについて~業者と銀行では考え方が違う!
第4回 資産背景:資産について~銀行が考える資産とは?
第5回 担保、その1:担保評価~アパートと、一般的な担保物件では評価方法が違う
第6回 担保、その2:現地調査~現場では何をどうやって調べるのか?
目次
アパートローンの年齢制限は?

アパートローンでは、ローンを申込む人の年齢が審査の重要な要素です。
今回は住宅ローンと比較しながら、この点について説明します。
住宅ローンとの比較
住宅ローンとアパートローンでは、申込み年齢について決定的な違いがあります。
さっそく比較してみましょう。
一般的な銀行ローンの年齢に関する部分です。
アパートローン:申込時20歳以上
住宅ローンとアパートローンの違い、それは年齢制限です。
アパートローンにはなぜ年齢制限(上限)がないのか?
これには2つの理由があります。
理由1:返済の方法
1つ目の理由は、返済方法、つまりどうやって返していくかの違いから来るものです。
住宅ローンは給料や事業収入などで返済し、アパートローンは家賃収入で返済します。
自分で稼いだお金で返済していくのが住宅ローンです。
ですから、自分の稼ぎで返済できる20歳以上70歳未満が一般的なのです。
そして借入期間は一般的に最長35年なので、満80歳をゴールにしています。
もちろん、実際には貯蓄や退職金などで繰り上げ返済をする人も多いので、全ての人が80歳まで返済することを想定しているわけではありません。
そしてこの満80歳については団体信用生命保険も深く関係しています。
死んで完済する人もいるからです。
(後述の団体信用生命保険のところで詳しく説明します。)
一方、アパートローンは家賃で返済していきます。
ですから原則年齢制限はありません。
「原則」と書いたのには理由があります。
例えば、90歳の人がアパートローンを20年返済で借りたとしたら、最終返済時の年齢は110歳です。
いくら高齢化社会になったといっても、110歳は現実的ではありません。
こうした高齢者のアパートローンでは、妻や子供などの後継者、つまり次に引き継ぐ人を連帯保証人や連帯債務者にします。
このように、実際には一定の年齢制限もあるのですが、あくまで申込む人によりケースバイケースなので、特に年齢制限(上限)は設けていないのが実態です。
理由2:団体信用生命保険
2つめの違いは、団体信用生命保険です。
団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りると加入する生命保険です。
ローンを借りている本人が死亡すると、特別の事情(妻が本人を殺害した、保険申込みに虚偽があったなど)を除いて、保険金でローン全額を返済してもらえる生命保険です。
保険料は金利に含まれ、ローン返済として毎月支払います。
ですので、住宅ローンは本人が死亡したらこの保険金でローンが完済されます。
(この団体信用生命保険にも年齢制限があり、住宅ローンの最終返済時年齢上限と同じ、満80歳未満が一般的です。)
一方、アパートローンは本人が死亡したら、そのアパートとローンは次の人に引き継がれます。
あくまで一般的な場合ですが、次に引き継ぐことが前提のアパートローンでは、団体信用生命保険を利用しないことが多いです。
不動産投資、あるいは相続対策や土地活用いずれの場合でも、アパートローンでは通常、団体信用生命保険を利用しません。
(銀行では保険を付保しない、と表現します。)
アパートローンを借りている本人が死亡したとしても、当たり前ですが家賃は引き続き入ってきます。
いいかえれば、本人が死んでも収入は途絶えることがないのです。
ですから、必ずしも団体信用生命保険でローンをチャラにする必要がないのです。
また上述のように、アパートローンは相続対策の手段でもありますので、債務を残しておいたほうが何かと有利な場合もある、というわけです。
そして、アパートローンの場合、団体信用生命保険の金額も馬鹿になりません。
アパートローンは借入金額が大きく、数千万円から億単位になります。
団体信用生命保険は金利に含む、つまり金利に上乗せして保険金を支払う形式です。
保険料は金利換算で一般的に0.3%程度です。
これは「1億円の0.3%だから30万円」などといった単純なものではありません。
ローンは通常元利均等返済(元金と利息を合わせ、毎月同じ金額が引落とされる)です。
元利均等返済で、0.3%の金利差がどのくらいか?というと、
「借入金額1億円、借入期間25年」→「金利3%と3.3%」では支払利息の総額で約4,700万円も違ってくるのです!
このように金額も高額になるため、アパートローンでは団体信用生命保険を付保しないのが一般的です。
ただし、アパートを完全な投資と考えて、自分が死んだら投資も完結させるために、団体信用生命保険に加入する人もいます。
保険料の分、当然金利は高くなりますが、それも含めた収支を自分で判断しているのです。
アパートローンにおける年齢の位置づけとは?

アパートローンは一人で完結するものではなく、後継者にバトンタッチして返済していくもの。
銀行ではそう考えています。
もちろん申込む人の年齢を軽視するわけではありませんが、端的にいえば死ぬことを前提にしているので、高齢だというだけでは審査において特にマイナス要素にはなりません。
しかしながら、例えばアパート全体の計画や、ローンの内容が理解できなければ、例え高齢ではなかったとしてもローンを申込むことはできません。
重視されるのは年齢より行為能力の部分です。
字が書けないということだけではそれほど問題になりません。
以前は本人自署が大原則でしたが、現在の銀行では家族などの代筆を認めているすからです。
ただし、この場合も行為能力が十分にあることが大前提になります。(執筆者:加藤 隆二)