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2018年11月の仮想通貨市場は大幅下落
仮想通貨市場の代表的な通貨であるビットコイン(BTC)は2018年11月に入り、一時1BTC=3,475ドルと1か月の間で40%以上の大幅な下落を記録しました。
2017年12月に2万ドル近くまで迫ったピーク時に比べると80%以上の値下がりです。
今回の大幅な下落の背景には何があったのでしょうか。

ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォーク騒動
今回の下落の引き金とされているのが、仮想通貨市場で時価総額第5位のBCHのハードフォーク騒動です。
BCHは仮想通貨市場で時価総額第1位のBTCから派生して誕生した仮想通貨でBCHと開発者も同じです。
ハードフォークというのは仮想通貨の分裂のことで、アップデートなどの際に行われ、ひとつの通貨が分裂して新しい通貨が作られます。
BCHもBTCのハードフォークにより誕生したものです。
そもそも仮想通貨というのがブロックチェーンという技術に支えられています。
仮想通貨というよりは暗号通貨という方が少し理解しやすいでしょう。
書き換えが困難で大量のデータを持ったプログラムをやりとりしているのですが、流通量が増えるとデータの送受信に時間がかかり、通貨の送金や決済に時間がかかるようになってきます。
ブロックチェーン技術は書き換えや修正が行いにくく不可逆性を持ったプログラムですので、利便性を改善するのにアップデートが必要となり、こうしたハードフォークがしばしば行われます。
急落の理由は技術改良の方針の対立
今回は、ハードフォークに際して、技術改良の方針で対立が起こりました。
BCHの開発コミュニティABCを中心としたグループと別のグループとの間でいうならば覇権争いが起こりました。
ハッシュ戦争といわれ、その通貨を取り扱う採掘者(マイナー)の支持をどれだけ集められるかを争ったものです。
当初はBCHだけの対立で済めばよかったところを、この争いに本家にビットコインの運営者を巻き込んだため混乱が深まりました。
覇権争いが長期化し、マイナーからのハッシュを集めるためにビットコインに大量の売却するのではとの憶測も流れました。
結果的に投資家の投げ売りや、今後の展開の不透明感、仮想通貨市場全体に対する不信感から売りが続き急落したものです。
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相場自体も冷え込んだまま
その他にも金融市場全体の下落や、米証券取引委員会(SEC)の仮想通貨への規制強化も重なり、相場自体は冷え込んでいます。
ビットコインのナスダック上場の話題も出ていますが、仮想通貨市場全体にはピークアウト感が否めない状況です。
2017年12月のピーク時から80%の下落で世界の仮想通貨市場から7,000億ドル(約80兆円)の資金が消失したことになります。
今後の相場動向についても目が離せない状況が続きます。(執筆者:相川 隆)