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会社四季報
12月14日に東洋経済新報社から「会社四季報 2019年1集・新春号」が発売になります。

もったいない話ですが、サラリーマン時代、営業マンだった私は当時四季報を「会社のことを知るための情報誌」程度にしか考えていませんでした。
ファイナンシャル・プランナーとして、資産形成の手段としての株式投資などを人にアドバイスするためには当然、自分自身の投資経験や実績も必要です。
そのような観点であらためて「会社四季報」を見ると全く見るところが変わってきます。
創刊は80年以上前
会社四季報は1936年に創刊されました。
今からなんと80年以上前です。
以来、戦争中の一時期を除き継続してずっと発売され続けている書籍です。
多くの人が存在を知っている「会社四季報」ですが、かつての私のように活用しきれていない人は多いと思います。
会社四季報を「投資」に役立てる第一歩としてその方法をご紹介したいと思います。
使い方:ざっと全体に目を通す

日ごろからマーケットを見る際に、四季報に書かれた情報を知らずに見るのと、あらかじめ知っているのとでは大きな差が出ると感じます。
新聞などの株価情報には会社名も知らない会社も多く存在し、自分の知っている会社、何かしら縁のある会社だけに注目してしまいます。
しかし、知らない会社の中に将来大きく成長し、世の中を変えてしまうような会社が必ず潜んでいるはずです。
もちろん、順調に成長する会社ばかりではないでしょう。
ですが、知らない会社を知ろうともしないことはもったいないことだと思います。
会社名、事業内容、業績に関するコメント欄の見出しだけでもざっと目を通してみましょう。

「あの商品はこの会社のものだったんだ。」
「今はこの業界全体が苦しいんだ。」
などということが把握できるだけでも発見だと思います。
気になった会社はさらに調べる
「投資」という観点では、個々の会社の業績や財務やキャッシュフローの状況などを確認していくことになりますが、ここではそのポイントは触れません。
本屋さんに行くとそういったことについて説明してくれている本も見つかると思います。
ここでは、四季報に掲載されている情報を参考に、どのように現実の株価の動きとつなげていくかに重点を置きたいと思います。
株式の投資法:2種類
株式投資には大きく分けると「投資」と「トレード」の2種類があります。
取引する対象は同じでも
「どのくらいの時間軸で投資するか」
によって必要な情報には違いがあります。
「トレード」は、個々の銘柄の会社の状況などよりもチャートによるテクニカル分析に重きを置いて売買を行うことで差益を得る投資法です。
「投資」は、四季報や各上場会社が発表するIR情報、新聞や雑誌などに掲載される記事などを参考にファンダメンタルズを読み解き、今後の業績を予想し、現在の市場での評価や今後の伸びしろを考慮し投資する手法です。
トレード(テクニカル投資)
トレーダーには「チャート分析だけで良い」という意見を持っている人もいます。
チャートから株価動向を予測する「テクニカル分析」で確実に利益を得ている人もいますので、否定するわけではありません。
チャートには世間の動きやこれまでの歴史が反映され、今後の予測も加味されているといえます。
さまざまなチャート分析法があり、知っていることは大いに参考になります。
しかし、その会社がどのような会社でどんな将来性があり、どのようにして今後成長していくかを予測し、その予測が現実になるのに合わせて株価も上がっていけば、うれしいのではないでしょうか。
銘柄に固執しすぎるのもリスクがあると感じます。
ファンダメンタルズ投資
ファンダメンタルズで「投資」をする場合、さまざまな情報の中から必要な情報、参考になる情報を探し出す、選び出すのは難しいです。
そこで大いに役立つのが「会社四季報」です。
一般的には
・公表される決算の内容や様々なIR情報
・ ニュースなどの公開情報
をベースに、企業分析を行い「割安株」(バリュー)、「成長株」(グロー)に投資するのが基本的な考え方です。
情報収集は大変ですが、会社四季報にはその会社の履歴書が掲載されていると考えるとわかりやすいかもしれません。
自分の興味のある会社を探しましょう
興味と言っても必ずしも「好き嫌い」だけではなく、投資対象としてその業種や商品・テーマなどに合致しているかなどの観点で探すうえで、四季報は非常によくできています。
コメント欄を読むと、おおよその会社が取り組んでいることを知ることができます。
そこで出会った会社についてさらに情報を得る、つまりアンテナを立てるのが重要です。
アンテナを立てると様々なところに落ちているチャンスを見つけられる可能性が高まります。

自分自身のアンテナを立てよう
街を歩いていて気になる店や、最近発売されて話題になっている商品といったものを見つけることがあります。
その時、その店やモノを売っている会社だけではなく、その関連商品や材料、企業などを芋づる的になどを、芋づる的に引っ張り出すと、ある会社の業績が上向き始めている、ということに気づくかもしれません。
「家電量販店はチャンスがゴロゴロ落ちている」と言っている人もいました。
株式投資をしていると、テレビや新聞のニュースで
・ 〇〇連合を抜けようとして、さまざまな問題で混乱している国の動向
などが、経済にどんな影響を与えるのかも気になるようになります。
相場の急変には備えておく必要があります。
自身の大切な資産がかかっているので当然です。
投資をするうえで大切なのは「アンテナを常に立てておく」ことです。
アンテナの向きを決める「四季報」
むやみに立てただけでは、今や世の中にあふれかえっている情報に翻弄されるだけでしょう。
アンテナの向きを考えるために、まず四季報にざっと目を通し、自分が興味を持てる業種や会社などを頭に入れ、そのうえでいろいろな情報収集をするのが良いでしょう。
アンテナがある情報に敏感に反応するようになると、
・ 新聞
・ テレビ
・ ラジオ
などで、特定のテーマやキーワードが不思議と目につくようになったり、耳に入ります。
気になるものは、すぐに見つけられる
子供たちと一緒に街を歩いていると「アンパンマンだ!」と急に叫んだりします。
「どこに?」と聞くと電車の広告やスーパーの棚、街角の店の看板などにアンパンマンが描いてある。
よく気づくなぁと感心することしばしばですが、それこそ子供たちの興味の対象であり、アンテナの向きだったりするのでしょう。
そういうキャラクターを用いた商品が少し高くても売れることも理解できます。
自分自身のアンテナを立てるためにも
それが株式投資を始めたり、有利に進めるきっかけになると思います。
間もなく「会社四季報」発売

自分自身もまだまだ修行中の身ではありますが、より自分自身のパフォーマンスを高めることが、結果的にファイナンシャル・プランナーとして人の役に立つと思いますので、精進したいと思います。
会社四季報の最新刊の発売まであとわずか。
新たな出会いがあるのではないかと今から楽しみです。(執筆者:西山 広高)