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税制改正大綱が公表
12月14日、自民党・公明党を中心とした与党から税制改正大綱が公表されました。
税制改正大綱とは各省庁や経済団体・業界団体などの要望や提言も踏まえ、来年度以降の増税・減税・新税など税制の具体的な内容を網羅したもので、税制の原案となります。
平成31年1月~2月上旬の通常国会に税制改正大綱を基にした税制改正案が提出され、国会で審議の上、3月下旬に法案が可決成立、4月から施行という流れです。
現時点でまだ決定したわけではありませんが、与党が多数のため来年10月の消費税UP時の駆け込み需要や反動減を防ぐ狙いもあり、税制改正大綱に沿った改正となりそうです。
多くの改正案がある中で、今回は来年度の税制改正に備えて、住宅を購入予定の方にとっては影響の大きそうな消費税の増税と住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)について解説していきます。
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1. 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは
現在の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は10年間にわたり、長期優良住宅等は年50万円、一般住宅は年40万円などの上限がありますが、年末の借入金残高の1%が所得税(控除しきれない場合は住民税も含む)から軽減されます。
あくまでも所得税と住民税の支払った合計が上限で、控除しきれない分まで還付されるわけではありませんので注意が必要です。
2. 改正後の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)はどうなるか
改正案では2019年10月から2020年末までに消費税増税後の10%が適用された住宅を購入し入居した場合10年間はこれまでと変わりませんが、その後3年間延長し11年目から13年までの3年間は消費税引き上げ分を上限として、「建物価格(土地は対象外)の2%の1/3に相当する額」と「借入金残高の1%」を比較して少ない方の額が軽減されます。
建物価格3,000万円、11年目の年末借入金残高2,500万円の場合
(2) 年末借入金残高2,500万円の1%に相当する額… 2,500万円 × 1% = 25万円
比較すると(1) 20万円 < (2) 25万円
少ない方の(1) 20万円が11年目の軽減額の上限です。
3. 住宅にかかる消費税の増税時期は?
原則的には引渡し時の消費税率が適用されますが、注文住宅の場合は契約してから完成し引渡しまでに半年以上の期間がかかる場合も少なくありません。
そのため平成31年10月以降の引き渡しは10%の消費税ですが、契約が平成31年3月までであれば、引き渡しが10月以降になったとしても消費税は8%のまま適用される見込みです。
4. 住宅の購入時期は「すまい給付金」なども考慮して
住宅を購入予定の方は普通は消費税が上がる前に買いたいと考えますが、住宅を購入した場合に条件に合えば
・ 「すまい給付金」が平成31年10月消費税増税以降は20万円増額される
・ 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が3年間延長される
などのこともあり、軽減額が消費税の増税分を上回ることもあり得ます。
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「すまい給付金」は年収によって給付金の金額が決まっており、年収が少ない人ほど給付額が多くなっています。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)については年末借入金残高の1%となっていますが、あくまで自分が払った年間の所得税と住民税の合計額が限度ですので、年収が多い人ほど恩恵があります。
住宅購入については増税後のほうが有利になる場合もあります。
消費税増税前に急いで契約する前に、自身の年間所得税や住民税の支払額、国土交通省のホームページを参照して「すまい給付金」の条件に合致する場合は年収別の給付金の額などをよくシミュレーションした上で総合的に判断して、住宅の購入時期を検討する事をお勧めします。(執筆者:後藤 誠道)