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生命保険を巡るトラブル

生命保険を巡るトラブルが発生した場合、一般の方が保険会社や銀行の営業担当に相談してもなかなか解決に結びつかない場合があります。
その理由のひとつには、通常、生命保険の申込用紙にはリスクについて説明を受けたということで署名がなされているからです。
形式上は「リスクについて十分説明を受けて了承した」ということになっています。
ただ、実際に商品内容やリスクについて十分に説明している場合もあれば、そうでないケースもあります。
実際に十分な説明がなされたかどうかは「言った」、「言わない」になってしまい、解決しないこともあります。
そんな時にはどこに相談したらよいのでしょうか。
トラブルが解決できない場合

基本的にはトラブルになり、保険会社の支社や銀行の支店で解決できない場合は、
2. 生命保険相談所
に相談しましょう。
1. 生命保険会社(銀行)本社
生命保険会社や、保険商品の窓販を行っている銀行では、お客さま相談窓口を設けています。
とくに金融商品販売専門の窓口を設けているところもあります。
保険会社などは契約件数などの数字目標が厳しい業界ですので、無理な販売なども起こりやすいという事情もあります。
その分、本社では保険商品販売に関するトラブルやクレームには敏感になっています。
支社や支店の営業担当職員と話をしても解決できない場合は本社窓口に相談してみましょう。
2. 生命保険相談所
本社で相談しても納得いかない場合は、生命保険相談所があります。
生命保険相談所は生命保険協会に設置している相談窓口で、保険業法に定める指定紛争解決機関(金融ADR機関=裁判外紛争解決手続機関)として、苦情の解決に向けた支援を行っています。
全国50カ所に連絡所を設置しており、電話または来訪にて相談できます。
生命保険相談所では、契約者からの苦情を受け付け、交渉の助言をするなど契約者と保険会社との話し合いを支援します。
平成29年度は7,812件の相談を受付けており、うち一般相談が3,593件、苦情が4,219件です。
〒100-0005
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル3階(生命保険協会内)
電話:03-3286-2648
受付時間:平日9時~17時
1か月たっても解決しない場合
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生命保険所では職員が仲介役となり、十分に契約者と保険会社との間で話し合いを持ちますが、それでも問題の解決がつかない場合もあります。
1か月たっても解決しない場合には「裁定審査会」に裁定を申し込む方法があります。
裁定審査会とは
・弁護士・消費生活相談員・生命保険相談所の職員の3者で構成
・裁定費用は無料
・裁判よりも迅速な解決を図る
ものです。
ADRとは身の回りで起こるトラブルを裁判ではなく、中立・公正な第三者が関与して迅速な解決を図ります。
平成29年度において裁定審査会に申し立てが会った事案は375件です。 申し立てが受理された場合、主には書面にて事実確認を行っていきます。 事情を聴取する場合は近くの生命保険相談所の連絡所からテレビ会議システムなどを利用することもあります。 裁定申し立てから裁定手続き終了までかかる、審理期間は3か月から6か月かかるものが多く、ケースによっては1年以上かかることもあります。 それでも裁判に比べれば費用もかからず、専門家によって公平・中立・迅速に対応できる点は安心できます。 裁定審査会が取り扱った事案については、生命保険協会のホームページにも公表されています。 生命保険をめぐってトラブルになっても、一般の方はなかなか相談しにくいのが実情でしょう。 ただこうした相談の仕方を知っておくだけでも安心できますので、今後にお役立てください。(執筆者:相川 隆)相談の仕方を知っておくだけで安心