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離婚時の保険新規加入や見直しの際の注意点 「養育費=保障額」に見直せば保険料を節約できる場合も

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離婚時の保険新規加入や見直しの際の注意点 「養育費=保障額」に見直せば保険料を節約できる場合も

離婚したら顔も見たくなくなりますが、亡くなられては困ります

離婚時の保険新規加入や見直しについて

ほとんどの夫婦は「子どものために」離婚を思いとどまりがちです。

残念ながら「子はかずがい」ではない夫婦もいるようで…息子、娘のことなんてそっちのけ。

一目散に離婚届をもらってきて証人欄へ両親の署名をもらい、夫、妻の欄に記入し、そして子の親権者の欄には「母親」にチェックを入れ、さっさと役所へ提出する夫婦がいるのも事実です。

「夫婦から友達に戻ろう」

そんな甘ちょろい戯言を言うようなロマンティストはそもそも離婚しないでしょう。

金輪際、縁を切りたいから、そして「いない方がいい存在」だから迷わずに離婚するのです。

「いっそのこと死ねばいい!」

そんなふうに思うほど怒り、恨み、憎むような間柄なのですが、実際のところ、本当に夫に死なれては困ります

離婚したら顔も見たくない、声も聞きたくない、連絡も取りたくない…妻目線では夫は「養育費を運んでくれる男」でしかないのに天国いや地獄から故人が養育費を振り込むことはできるでしょうか?

残念ながら現世と来世の間には境界線があるので無理です。

そのため、万が一の場合に備えての「保険」が大事になってきます

夫婦が離婚するにあたり、保険に新規加入する場合、もしくは加入済みの保険を見直す場合、どのような点に注意すれば良いでしょうか?

離婚時の保険新規加入や見直しの際の注意点は

今回の相談者情報

今回の相談者は戸次佳奈美さん。

佳奈美さんは夫との話し合いのなかで、すでに養育費の条件(夫が妻に毎月10万円を20歳まで。計1,800万円)は決まっていました

そして離婚前に加入した保険がありました。

具体的にいうと保障期間は終身、死亡保障1,800万円(受取方法は一括、分割の選択可。金額は固定)で保険料は毎月1万3,500円で掛け捨てタイプ。

途中で夫に万が一のことがあっても妻子が路頭に迷わないようにしなければなりません

このように保険は養育費の担保なのですが、一方で過不足なく保障額を設定することで保険料を節約したいところです。

保障の期間はどうする?

【家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)】
夫 : 戸次健也(36歳)→ 会社員(年収900万円)
妻 : 戸次佳奈美(34歳)→ 専業主婦 ☆今回の相談者。
長女 : 戸次奈月(5歳)→ 戸次夫婦の娘

「この保険で大丈夫でしょうか?」

佳奈美さんは不安そうな顔をしますが、まず保障の期間は養育費の支払期間と同じか、それより長く設定する必要があります

逆に「保障の期間 < 養育費」の支払期間ですと、万が一、途中で夫が亡くなった場合、保険金が支給されずに困ります

「保障の期間が終身で、養育費の支払期間が15年(5歳から20歳まで)なので問題なさそうですよ」

私はアドバイスをしたのですが、一方で保険料が全期間、一律の場合、保障の期間が長ければ長いほど保険料は高くなりがちです。

「養育費は15年間で十分です。それ以降、旦那からもらうつもりはありません」

佳奈美さんの希望を踏まえると離婚前の保険を解約し、新しく保険に加入するにあたり、保障の期間を終身から20年に短縮しても良さそうです

この保険会社の場合、15年という期間を設定できないようなので20年にしました。

その結果、保険料を毎月1万3,500円から1万1,000円に減額することができたのです。

保障額はどうする?

次に保障額ですが、養育費の合計額を一致させる必要があります。

万が一、夫が亡くなった場合、それ以降、養育費をもらえませんが、将来の未払養育費に相当する保険金を受け取ることができれば、離婚時に約束した養育費を全額、手に入れることができます

佳奈美さんの場合、養育費の合計額は1,800万円(毎月10万円 × 15年)で、死亡保障額も1,800万円だったので、基本的には保障額を変更する必要はありません。

ただ、この保険はどのタイミングで夫が亡くなっても保障額は1,800万円だという点がネックです。

「例えば、離婚5年目の時点で将来の未払養育費は1,200万円、10年目は600万円です。1,800万円も必要ないのではないでしょうか?」

私は佳奈美さんに投げかけたのですが、保障は手厚ければ手厚いほど望ましいです。

とはいえ保障額が多ければ多いほど保険料は高くなります。

離婚当初は「保障額 = 養育費合計額」で良いのですが、途中から「保障額 = 養育費の残額(将来の未払養育費)」になるよう工夫することが大事です。

保障額は養育費の合計額を一致させる必要がある

保険料も不必要な保障を削減して減らせます

「全期間、一定の保障ではなく、養育費の残額に合わせて保障額も減っていく『逓減型』に変更してはどうでしょうか?」

と、私は提案しました。

佳奈美さんの場合、養育費は毎月10万円なので、万が一、夫が亡くなった場合、その時点から子が20歳になるまでの間、毎月10万円の保険金を受け取ることができれば、「保障額 = 養育費の残額」となります。

離婚5年目に夫が亡くなった場合は月10万円 × 10年 = 1,800万円、10年目なら月10万円 × 5年 = 600万円という具合です。

実際に試算してみると離婚前の保険を解約し、新しく保険に加入するにあたり、死亡保障額を1,800万円固定から月10万円分割に変更すると保険料をさらに毎月1万1,000円ら9,000円へ減ることが分かりました

離婚前の保険を離婚後の親権、養育費、家族構成などを踏まえて見直すのは大事なことですが、保険料との兼ね合いを考えなければなりません

保険の契約者は夫ですから、夫の承諾が必要ですが、佳奈美さんは夫の協力を得て、離婚前に保険の手続きを済ませることができたそうです。

一方、保障の見直しによって保険料が大幅に増えるようでは、佳奈美さんのように夫の理解を得ることは難しいでしょう。

保障を充実させれば保険料が増えるのは仕方がないので、佳奈美さんのように離婚後、保障期間を短縮したり、不必要な保障を削減したりすることで保険料を減らし、離婚前後で保険料があまり変わらないよう工夫することが大事になってきます。(執筆者:露木 幸彦)

《露木 幸彦》
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露木 幸彦

露木 幸彦

露木行政書士事務所 代表 1980年生まれ。国学院大学・法学部出身。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7,000件、離婚協議書作成900件を達成した。サイト「離婚サポートnet」は1日訪問者3,300人。会員数は20,000人と業界では最大規模にまで成長させる。「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。読売、朝日、毎日、日経各新聞、雑誌「アエラ」「女性セブン」「週刊エコノミスト」テレビ朝日「スーパーJチャンネル」TBS「世界のこわ〜い女たち」などに取り上げられるなどメディア実績多数。また心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し、累計部数は50,000部を超え、根強い人気がある。 <保有資格>:行政書士、AFP 寄稿者にメッセージを送る

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