確定申告を行う際に、国税庁Webサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用されている方は多いと思いますが、平成30年分からデザイン・機能がリニューアルされた部分があります。
税額計算に関わる大きな改正は配偶者(特別)控除ですが、確定申告の手続きに関わる変更点としてマイナンバーカードなしでのe-taxが可能になったこと、また申告内容によってはスマホ版による申告が可能になった点が挙げられます。
配偶者(特別)控除の改正とスマホ版の確定申告は別途改めて取り上げることとし、デザイン変更の概要とマイナンバーカードなしでもできるe-taxについて触れます。

目次
デザインの変更
先行して平成29年分で、医療費控除と住宅ローン控除の画面が緑を基調としたデザインに変更されましたが、平成30年分はトップ画面がこのデザインに変更されています。

ただ税目選択画面の先は、平成29年分までのデザインと同一です。また税目選択画面までも、後述するe-taxの申告方法を除き、基本的に平成29年分までと同一の内容です。


ただし控除関係では、医療費控除・住宅ローン控除の他に下記の控除に関して、デザインや入力方法が変更されています。
・ 生命保険料控除
・ 地震保険料控除
・ 寄付金控除(ふるさと納税ほか)


また納税方法の案内画面、及び申告書の確認画面から先も変更されています。

マイナンバーカードなしでもできるe-tax
従来は有効な電子証明書がついたマイナンバーカード(もしくは住基カード)とカードリーダーがないと、パソコンがあっても電子申告(e-tax)はできませんでした。
しかし、平成30年分からはこれらがなくともe-taxを行うことができるようになりました(ID・パスワード方式)。またマイナンバーカードを使う場合は、1回認証を行えば利用者識別番号を使ったログインを行わずに電子申告を行うことも可能になりました(マイナンバーカード方式)。

なおマイナンバーカードなしのe-taxは、事前に下記いずれかの手続きが行われていることが条件です。
2. 平成29年分の確定申告を申告会場で行い、本人確認が行われたうえで電子送信している
どちらかの手続きが行われていれば、「重要書類」ではじまる「ID・パスワード方式の届出完了通知」(2. の場合は平成29年分確定申告書控の一部として)が発行されているはずです。
このID(利用者識別番号)は国税申告用のみに使用できる16桁の番号であり、12桁のマイナンバーとは別物です。

ID・パスワードは、申告書作成前と電子送信前の2回入力します。


なおID・パスワード方式は確定申告書等作成コーナーによる電子申告だけに使用できること、早ければ3年後には廃止される方式であることは注意してください。
e-taxのメリットである書類の添付省略
e-taxを行った場合のメリットとして、確定申告書に添付すべき書類の提出を省略できるというものがあります。

給与や公的年金の源泉徴収票、保険料の控除証明書、寄付金(ふるさと納税ほか)の証明書、上場株式配当の支払通知書など、多くの書類は提出省略ができます。
ただし住宅ローン控除初年度に提出する書類(登記事項証明書、借入金残高証明書など)は厳格な審査が必要なため、e-taxであっても別途提出が求められます。不動産売却に関しても、別途提出が求められる場合があります。
詳細は電子送信を行った後(もしくは送信前の確認用)に出力される確定申告書控のPDFファイルの1ページ目を見れば、提出が必要な書類・不要な書類がわかります。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)