以前の記事で、フラット35利用者調査の概要をお伝えしましたが、今回は民間住宅ローン利用者調査の概要をお伝えします。
調査対象は、2018年4月~10月に民間住宅ローン(フラット35を含む)の借入れをされた方が対象で、回答数は1,500件です。
目次
「変動型」の優位性は変わらず

利用した金利タイプですが、
・ 固定期間選択型… 25.3%
・ 全期間固定型… 17.7%
となっており、6割近い人が変動型を選択しています。
一方で、2017年度第2回(2017年11月~2018年3月)と比較すると、固定期間選択型が4.8%減少し、全期間固定型が4.4%増加しています。
これを住宅の種類別に見ると、
・ 変動型は新築建売… 68.0%
・ 中古マンション… 65.9%
・ 新築マンション… 60.2%
と6割を超えています。
逆に、全期間固定型は注文住宅で23.3%、中古戸建で22.0%と2割を超えていますが、それ以外の住宅では伸び悩んでいます。
世帯年収の平均値はどの程度なのか
変動型、固定金利選択型、全期間固定型とも、世帯年収「400万円超~600万円以下」と、「600万円超~800万円以下」が6割前後を占めており、中核となっています。
融資率
変動型と固定金利選択型が「90%超~100%以下」、全期間固定型が「80%超~90%以下」が、最も多い利用割合となっています。
返済負担率
「年間返済額 ÷ 年収」は、いずれの金利タイプも「15%超~20%以内」が、最も多い利用割合となっており、融資率は高いけれども、適正な返済負担率に収まっていることがわかります。
今後1年間の金利見通し
【全体】
・ 「現状よりも上昇する」… 2018年4月に29.1%だったものが、2018年10月には41.7%へと増加
・ 「ほとんど変わらない」… 2018年4月に59.0%だったものが、2018年10月に49.2%に減少
【金利タイプ別】
・ 変動型では「現状よりも上昇する」が、2018年4月に21.0%だったものが、2018年10月には36.3%へと増加
・ 「ほとんど変わらない」が、2018年4月に66.7%だったものが、2018年10月に56.5%に減少
【全期間固定型】
「現状よりも上昇する」が、2018年10月に55.6%
「ほとんど変わらない」は、2018年10月に34.2%
上昇するとの回答が上回っています。
マイホーム購入検討に参考になる調査結果
この調査結果は恐らく、日銀が7月に全期間固定型の指標となる、長期金利の上昇を一定程度容認した影響が大きいためと考えられます。
しかし、金利が上昇すると考えていながら、金利タイプで変動型を選択した人は、借入れ可能額を優先したためとはいえ、いざという時のために流動性資金の確保が求められます。
参照:住宅金融支援機構 民間住宅ローン利用者調査 2018年度
これから住宅ローンを組んで、マイホームを購入しようと考えている人には、実際に借入れをされた人の調査は大変参考になると思います。
この調査を参考に、ご自身の世帯にあった住宅ローン選びをしていただけたら幸いです。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)