2018年12月に、住宅金融支援機構から「民間住宅ローンの貸出動向調査」が発表されました。
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この調査は、民間住宅ローンを取り扱う金融機関に対し、住宅ローンの貸出実績、取組姿勢、営業戦略、審査、リスク、証券化の動向などについて調査したものです。
通常はなかなか聞けない、住宅ローンを貸す側の調査だけに、住宅ローン利用者にとっても、参考になる部分があるかと思います。
なお、調査時期は2018年7月~9月で、貸出実績などの計数関係は2017年度、その他の項目は2018年6月末時点の状況になりますので留意願います。
目次
新規貸出額が対前年比で減少する意外な結果に
ここまで、超低金利を背景に順調に伸びてきた新規貸出額ですが、2017年度に関しては、対前年比「大幅減(10%超)」「減少(5%超10%以内)」の合計割合が49.3%と前回調査の21.0%を大きく上回りました。
特に都銀・信託は「大幅減」が100.0%となり、メガバンクなどが住宅ローンに関して、一歩距離を置いている姿勢が伺えます。
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一方で、新規貸出額に占める金利タイプ別構成比では、「変動金利型」が63.9%と前回調査の49.9%から、さらに割合を高めています。
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この結果は、日銀が長期金利の上昇を一定程度容認する政策変更前とはいえ、住宅ローン利用者の間では金利先高観が広がっていないことが伺えます。
新規住宅ローンへの今後の取組姿勢は「自然体」が増加
新規貸出額こそ減少しているものの、金融機関にとって住宅ローンは重要な商品であることに変わりありません。
新規住宅ローンへの今後の取組姿勢でも、「積極的」が73.0%と最も多くなっています(前回調査は78.6%)。
一方で、「自然体」(現状維持)が26.7%あり、こちらは前回調査の20.1%から増加しています。
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新規貸出額の利ざや縮小、延滞の増加などが、金融機関を慎重にさせているのかもしれません。
「中古・リフォーム一体型」、「リバースモーゲージ」に注目
今後重視する商品としては、「中古・リフォーム一体型」が前回調査の46.8%から51.6%へ、「リバースモーゲージ」も前回調査の11.0%から16.3%へ増加しています。
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どちらも、現在の住宅資源を生かす、ストック型融資であるのは興味深いところです。
まとめ
今回の調査で特徴的だった項目を抜粋してご紹介しました。
興味を持たれた方は、住宅金融支援機構のホームページ(pdf)からご覧頂けたらと思います。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)