厳しい中学受験の入試を終えて、入学する私立中学校が決まってから、親が気になることがあります。
筆者の子どもは私立中高一貫校の中学生ですが、入学間もない時に、非常に成績が悪く、塾通いを考えました。
中学受験時にお世話になった塾のご協力と、学校で懇意があるお母さんの話を交え、私立中高一貫校の生徒さんの塾通い事情をお話します。
目次
私立中学校入学後に言われる一言
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入学前の保護者向け説明会で、学校側からのお願いとして、
と言われました。
文部科学省が定期的に行なっている子供の学習費調査では、私立中学生でも、塾や家庭教師を利用しているという結果が出ています。
文部科学省が行なった「平成28年度学習費調査」では、
・ 私立中学生の学習塾への平均支出額は26万2,000円
・ 家庭教師費の平均支出額は11万7,000円
という調査結果でした。
参考資料:政府統計の総合窓口 平成28年度学習費調査より 学習塾費・家庭教師費等
特に中1・中2が利用している率は高いのですが、中2以降から利用をやめる子が増え始めるようです。
塾をやめた子の話を聞くと「指導スピードが、学校と塾では違う」と言います。
付属高校へ進学を前提に、中3で高1の授業を始める学校が多いので、指導スピードの違いをうんでいます。
ハイレベル校では、成績が悪い・赤点の数が多い生徒を、放置することはあります。
「自分から努力して学力をあげたい」と申し出た子に、放課後や休み時間に質問タイムや勉強法の指導を行う学校はあります。
中堅校以下の学校は、教育方針によりますが、補習や特別講習会の時間を設けて、生徒の学力向上をしようとしています。
特に中堅校で偏差値がやや高めの学校は、有名大学合格率を上げるために、中学生のうちから、講習会の回数が多いので、塾通いをしている暇がなくなってしまいます。
しかし、
・ やる気があがらない
・ 成績不振が続く
・ 赤点科目が減らない
など、成績面で問題がある生徒に対しては、担任から塾通いを進めるか、最悪の場合は「自主退学を勧める」ということになります。
私立中学に通う生徒を教えられる場所はあるのか?
厳しい中学受験を突破して、私立中学へ入学した生徒を指導できる塾は限られます。
中学受験時代に通った塾ではどうでしょうか?
残念ながら断られます。
特に中学受験専門塾は、中学受験終了と同時に卒業扱いとなり、入学後のコース開設はありません。
1. 私立中学生を受け入れる塾の場合
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筆者の子どもが通った塾は中学部がありました。
問い合わせたところ、
と話されました。
一般的な塾の集団クラスは、公立中学生向けで、やや先取りの授業内容です。
しかし、私立中学では指導スピードが早く、指導科目が高校生とほぼ同じ単元をすることがあるので、集団クラスに入れません。
問い合わせた塾で、もし個別指導を受ける場合の金額を出していただきました。
・ 週2回・2対1指導の授業料 月額3万1,000円(1教科での値段)
・ 指導時間は80分
テキスト代などの諸費用は授業料に含む
金額面から、全教科ではなく特に苦手科目だけ指導を、お願いするケースになります。
他にも私立中へ通う生徒さん向けの個別指導塾はありますが、先生との相性の問題など、個別指導塾があわなければ、家庭教師を選びます。
2. 家庭教師に指導をお願いする場合
家庭教師については、個人でされている方か家庭教師センターからの派遣をお願いすることになります。
個人経営の方だと、私立校生対応を見つけるのが難しいので、私立中高一貫校対応ができる家庭教師センターを利用する方がほとんどです。
ある家庭教師派遣センターの「中高一貫校・付属校専門コース」を利用した子のお母さんからお聞きした利用金額を紹介します。
・ 学習サポート費 毎月3,000円(指導報告書などの書類作成代など)
・ 週1・月4回 月額2万2,000円(教科数や指導教科は相談で決定)
・ 講師交通費 無料(ただし定期券区間外からの派遣であれば差額請求あり)
・ 教科書代 無料(学校の教科書か希望の問題集で対応)
利用したお母さんの話は「事前ヒアリングはありましたが、学校の指導速度とあわなくて、早めに解約しました」と話されていました。
3. 我が家の例:オンライン授業
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我が子の場合、英語が非常に苦手でした。
家庭教師や塾通いを考えましたが、土曜授業はありますし、帰宅時間が遅いので、ネットで受講できるオンライン教育を選びました。
費用は、
・ 月額料金 9800円
・ 教科書 1冊1,100円(紙媒体価格。基本はダウンロードしたテキスト使用)
でした。
授業は、勉強したい単元を自分で選択するタイプでした。
しかし学校の授業と特別講習、放課後の質問タイム利用で、利用する暇がなく解約しました。
塾や家庭教師にオンライン授業と、選択肢はあります。
しかし、子どもさんの勉強へのモチベーションはもちろんですが、私立中学特有の授業速度や補習制度の問題で、お金の無駄遣いになりかねません。
私立中学校で塾は必要なのか?
中1時代、担任の先生から保護者会や懇談会で質問に対する回答としては、「中1・中2は、私立校の授業慣れ期間なので、正直『塾通いや通信教育は不要です』」と言われました。
私は、入学後初めての子供の定期考査の成績を見て、顔面蒼白となりましたが、時間がたつと「自分なりの勉強方法」がわかり始め、成績は自然に上昇していきました。
中3になると、10月ごろから進学説明会を行う学校はあります。
学校によりますが、他校へ進学する子は毎年ごくわずか出ます。
よほどの事情を抱えた生徒さんで、中2の途中から塾通いを始めて対策をとります。
私立中学の塾通いは
・ 時間
・ 私立中学特有の授業速度や補習制度
の問題までしっかりと考えましょう。
合格してからが「はじまり」
入学後は毎日の授業に取り組む姿勢が大切です。
真面目に授業を受けていれば、塾も必要はないでしょう。
私立中学に入学してから授業についていけず、塾通いをする子もいます。
塾通いなどをしてもついていけないとなると、学校からの呼び出しがあり、今後の学習について話し合います。
さらに上を目指す場合もあります
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超難関校に通学している子でも、入塾試験で振り落とされる「東大レベル・現役合格向け」もあります。
入塾できる学校指定があり、それでも入塾できない超難関です。
明確な目標がある過程は中1の時点でも、塾通い選択します。
塾に通うのであれば目的を明確にし、時間や金銭面で無理のない塾選びをおススメします。(執筆者:笹倉 奈緒美)