目次
1.ネットキャッシュ比率とは何か
ネットキャッシュ比率は、ネットキャッシュを時価総額で割ったものです。
ネットキャッシュは、
・ 預金
・ 有価証券
といった企業の手元流動性から有利子負債を差し引いた金額です。
ネットキャッシュ比率が高いほど、有効に企業活動に活用されていない蓄えがあってキャッシュリッチな企業です。
2.ネットキャッシュ比率と自己資本利益率(ROE)の関係と推測されること
ネットキャッシュ比率が高いと総資産に対して手元資金が多いためROEが低下する要因になります。
ROEは企業の収益力を判断する財務指標の1つです。
自己資本を使ってどれだけ効率的に多くの利益を生み出すことができるかということです。
キャッシュリッチの企業は株価が割安と判断されることもあり、企業買収の候補にもなりやすいです。
買収防衛策として株価を上げるためや、企業統治の観点などからROEを改善するように目指す可能性があります。
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ROEを改善する方法
株主還元があります。株主還元は増配や自社株買いなどです。
ネットキャッシュ比率が高くてROEが低い企業は、期末に向けて株主還元が期待できます。
決算に向けて配当金狙いの銘柄を選定にするなら、ネットキャッシュ比率にも注目してみると良いです。
企業の資金をどのように使うかは経営判断になるので必ずしも株主還元されるとは限りませんが、株主還元を期待して購入される可能性もあります。
3.長期的ならネットキャッシュ比率よりもROE
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ネットキャッシュ比率が高い企業は資金は持っているかもしれませんが、効率的な経営という点ではROEが高い方が良いです。
つまり企業の成長という点では、ROEが高い方が期待ができるからです。
長期的に株式を保有するつもりで購入するなら、ネットキャッシュ比率よりもROEを見た方が良いです。ROEは欧米などの外国人投資家が重要視している指標です。
企業が成長することによって、株価は大きく変動する可能性があるからです。
中期や短期的には、ネットキャッシュ比率から株主還元を期待して投資することは悪いことではありません。
しかし、長期的に保有するなら企業の長期的な成長という点にも注目する必要があるからです。
外国人投資家も日本株を多く保有しています。
企業もそれにつれてROEを意識した経営を行うようになってきています。
投資スタンスによって何に注目するのかも変わってきます。
期末が近づいてくると、それを狙った投資も増えてきます。(執筆者:成田 恵)