あなたの貯蓄は、いくらくらいありますか?
金融広報中央委員会の調べによりますと、勤労者世帯の平均では1,309万円で、29歳以下では貯蓄残高が265万円となっています。
そして30歳から39歳まででは670万円です。
以降10歳間隔で、40代1,026万円・50代1,639万円・60代2,133万円です。
参考資料:金融広報中央委員会 知るぽると 金融資産 2-9「勤労者世帯の世帯主年齢別貯蓄残高・貯蓄年収比2015/平成27年」
とはいえ、これはあくまでも平均ですので、当然ながら中にはこの平均貯蓄残高に届いていない人も、大幅に上回っている人も、大勢いると推測されます。
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目次
20代が貯金できないのは、ダイエットができないのと同じ理由
ここで重要なのは、平均に届いていない場合に
と一度考えてみることではないでしょうか。
結論を先に言いますと、人が資産形成に対して、いまひとつ及び腰なのは
ではないかと思われます。
どういうことでしょうか。
一例として、ダイエットを上げてみましょう。
ここでのダイエットとは適正体重を目指すものです。
このダイエットはとても良いものです。
なぜなら、適正体重になれば、心臓やひざなどに大きな負担もかかりません。
また、服のサイズも常に一定にキープできますので、横の成長に伴う大きなサイズに買い替えるムダも省けます。
さらに健康寿命も延び、医療費の削減にもつながり、良いことだらけです。
適正体重でいて、悪いことはあまりないと考えられます。
ですから、理論上は「ダイエットをして適正体重で過ごすのが良い」となります。
しかし、私たちはついつい、目先の食欲に負けてお菓子や食事を食べすぎてしまいます。
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これはつまり、将来の健康よりもいまの快楽の方が大事だと判断してしまうからです。
このように、
という困ったクセが私たちにはあります。
双曲割引という特性が私たちにはあるので、20代では貯金がむつかしい?
ダイエットと同じことが資産形成でも起こります。
20代の方にとっては、
ということに、あまり価値を感じにくいと思われます。
反対に、いま60代の方にとっては、80代の時のための備えはわりと重要な問題にとらえがちです。
けれども、冷静に考えますと、両者は同じ80代の自分のお金ですから、年齢にかかわらず同じ重みで考えるべきです。
しかし、ダイエットと同じく
という困ったクセが私たちにはあります。
より分かりやすいイメージとして、好きなお菓子などをイメージして下さい。
b. 10km離れた場所にお菓子がある
aとbのどちらが、より食べたい気持ちが強く働くでしょうか?
当然、aの「目の前のお菓子」ですよね。
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一方で、同じお菓子でも遠くにあると、魅力的に見えません。
これが価値を割り引いてしまうということです。
そして、貯金・資産形成の場合は、
b. 「10km離れた場所のお菓子」が老後の資産
です。
私たちのこのような「感覚」の性質を「双曲割引」と言います。
※双曲割引一例:現在に近いほど、時間割引率が高く、未来になるほど時間割引率が低い、などの特性。いわゆる「せっかち」な性格。
「感覚」に左右されない資産づくりを
このように私たちは、お金に対しては、仮に金額が同じでも、いまと未来では価値感が異なることがあります。
また、冷静に万人共通の「金額」で判断しているのではなく、人によって異なる「感覚」で判断していることも分かります。
ただ、「感覚」に頼り過ぎていると、なかなか資産形成ができにくいままです。
そこで
すると、私たちにとっては良い結果に結びつきやすいかもしれません。(執筆者: 佐々木 裕平)