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死者に使うおカネ
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日本人は、亡くなった人におカネを使わなくなりました。
ここ10年から20年くらいの変化です。
以前は最低でも数十万円から数百万円単位のおカネを使ってお葬式をやったものです。
今は親族による密葬が「当たり前」になりました。
地域差はあるかもしれません。
私が住む地方の中規模都市の例で言うと、ご近所の方が亡くなって、以前のようなカタチで葬儀が行われることはまずありません。
家族による密葬がすんでから、町長を通じてご近所にお知らせというパターンがほとんどです。
葬儀にまつわる出費は大幅にカットされるようになりました。
墓地・墓石も同様です
墓地用の土地が確保できない都市部から、まるで貸金庫のような設備にご遺骨を収納するサービスが始まりました。
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墓地も墓石も要らなくなりました。
遺族は、葬儀に使う以上のおカネを節約できるようになりました。
葬儀会社、墓地・墓石業界は一昔前には、死者が増えていくトレンドに乗った儲かり業種と見られていました。
関係者の思惑は大きく外れることになりました。
埋葬料・埋葬費
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ちなみに、被保険者が業務外の事由で亡くなった場合、協会けんぽからおカネがもらえます。
亡くなった被保険者により生計を維持されて、埋葬を行う方に「埋葬料」として5万円が支給されるのです。
国民健康保険でも同じです。
名称は、「埋葬費」です。
大がかりな葬儀が行われていた頃は、「お坊さんの読経代ぐらいにしかならない」と言われていました。
が、「親族だけの密葬時代」には無視できないおカネとなりました。
忘れずに請求してください。
死ぬ前のおカネ
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生涯の医療費は、その70%~80%を60歳代・70歳代で出費することが政府統計で確認できます。
なかでも、死ぬ前の1年間がピークです。
ただし、高額療養費制度のおかげで本人または家族が出費に対してイタミを感じることはありません。
逆に言えば、「終末の1年間」の出費を抑制できれば、数千億から数兆円の国費負担削減が可能です。
終末1年間の出費については、互いに利益が相反する厚生労働省と医師会で激しい論争が続けられています。
この件について、厚生労働省の意向を強く反映したのが、「過度な終末医療をしない」という欧米の事例紹介でした。
ちょっとした話題となりましたが、日本で受け入れられることはありませんでした。
死んだ後のおカネと死ぬ前のおカネについて考えてみてください。(執筆者:金子 幸嗣)