超低金利が続く中、ネット銀行が優遇金利の定期預金を展開しています。
その多くが条件つきながら、一般的な定期預金金利(0.01%)の10倍(0.1%)以上、なかには50倍(0.5%)の定期預金もあります。
そのようなお得な定期預金はぜひ利用したいです。
しかしそれらの優遇金利定期預金は金利の高さだけ見るのではなく、以下の3点にも注意する必要があります。

目次
注意点1.銀行が提示している金利は「年利」

年利とは?
銀行のHPや店頭などで提示されている定期預金金利(満期時利息の利率)は「年利」です。
それは優遇金利定期預金に限らず、どの種類の定期預金でも同じです。
年利とは、1年間お金を預けた場合の金利です。
数か月単位の定期預金の実質的な金利はそれより低くなります。
このことを意外と知らない方も多いのではないでしょうか。
定期預金金利は年利をもとに日割計算を行う
もう少し具体的に説明しましょう。
例えば10万円を年利0.1%の1年定期として預けた場合、満期時に付与される利息の計算式は次のようになります。
これを見ると、預入期間を意識せず単純に「10万円預けると100円の満期利息がつくのね」と考える方もいるでしょう。
しかし、金利の計算は365日の日割計算で、利息額は小数点以下切り捨てです。
つまり、金利(年利)0.1%の6か月定期だと満期時の利息は概算で半分の50円(0.05%)、3か月定期なら概算で4分の1の25円(0.025%)となります。
さらに、最近よく見かける7日定期なら、以下のようになります。
10万円×0.001÷365×7=1円(小数点以下切り捨て)
このように、預入期間が短いほど実質的な金利が低くなります。
注意点2.「利子課税」で利息から税金が差し引かれる

利子課税は利息から差し引かれる税金
これもまた定期預金すべてに該当することですが、定期預金の利息からは税金が引かれます。
これを利子課税といいます。
利子課税とは、預金利息などの利子所得に課せられる税金で、解約時(自動継続含む)の利息から源泉徴収されます。
利子課税の税率は20.315%
利子課税の税率とその内訳は以下のとおりです。
内訳:復興所得税0.315%を含む国税15.315%+地方税5%
※復興所得税の課税期間は2013年1月1日~2037年12月31日
たとえば、100円の利子なら
が手取り利息となります。
それもまた、意外と見落としがちな点ではないでしょうか。
なお、金融機関のサイトやパンフレットなどには、税引き後の金利が最初から明記されています。
しかし、税引き前の金利の横や下に非常に小さい文字で記してあるため、よく確認する必要があります。
注意点3. 優遇金利定期預金は満期日以降に注意

自動継続すると超低金利の定期預金に変更される
最後に、優遇金利定期ならではの落とし穴について説明します。
優遇金利定期預金は、満期後にその利率のままでは自動継続しません。
通常は、0.01~0.02%の低金利定期として継続されます。
そのため、満期日が来たらインターネットで自分の口座にアクセスし、手動で金利高めな定期預金に預け替えることをおすすめします。
預入期間が短い定期預金は自動継続すると損
特に気をつけたいのが、預入期間が短い定期預金です。
たとえば、10万円を金利0.5%の3か月定期預金(実質金利0.025%)の満期後、3か月ずつ9カ月間0.01%の定期預金として自動元利継続した場合と、同じ金額で金利0.1%の1年定期を作った場合とで、税引き前の満期利息(概算)を比べてみましょう。
3か月 10万円×0.025=25円
6か月 10万25円×0.0002=20円
9か月 10万45円×0.0002=20円
1年10万65円×0.0002=20円
合計:85円(税引き後67円)
※小数点以下切り捨て
10万円×0.001=100円(税抜後79円)
両者を比べると、税引き後の利息は1年定期が税引き前で15円、税引き後は12円高くなります。
つまり、高金利の短期定期預金は、満期後に自動継続すると、金利低めの1年定期より若干損をします。
そのため、優遇金利定期預金満期後も高金利で継続したければ、手動で預け替えすることが必要です。
しかし、満期日を大きく過ぎてしまった場合でも、超低金利の今なら中途解約によるダメージはほぼありません。
その場合は中途解約し、より金利のよい定期預金に預け替えてもいいでしょう。(執筆者:大岩 楓)