「後妻業」といえば、女優の木村佳乃さん演じる「武内小夜子」が、孤独な一人身の年配男性をカモに後妻業ビジネスを展開する2019年の冬ドラマとして放送中です。
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「他人事」と考えている人も多いようですが、後妻に入ったり養子縁組をしたりして他人の財産を狙う輩は、意外と身近に多くいます。
今回は、後妻業のリアルな実態と、財産を守るために押さえておきたい親の3つの変化をお話ししたいと思います。
目次
後妻業ビジネスのリアルな実態
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金融会社に勤めていると、保険金目当ての不審火や自殺が噂されるような話はありましたが、女の陰がチラついて不審死を遂げるという話は聞いたことがありません。
ですから、小夜子のように殺人まで犯すような人は、実際には少ないということです。
それもそのはず、相手が死ぬまで財産をもらうことはできませんし、いくら希薄でも実の息子や娘がいる場合は、遺留分の問題や生前贈与済みであるなど複雑なことが多いからです。
そのため、「結婚詐欺との中間」というパターンが多く見受けられました。
ただ、結婚詐欺とあきらかに違うのは、本人たちが籍を入れることに何の躊躇もなく、「結婚してもいい」と考えていることもあり、犯罪と認定されにくいことです。
親族から訴えると言われてお金を返した人や、実際に逮捕された人もいましたが、借金を返済して羽振りのいい一人身の資産家と結婚した人もいます。
気をつけて! 親の3つの変化
1. 急に明るくなったら気をつけて!
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あまり積極的ではなかった親が、よく出掛けるようになったり、服装に気を使うようになったりしたときは要注意です。
電話だけで連絡を取っているような場合には、声のトーンや会話の内容によく注意しておきましょう。
また、
「最近はどこか出掛けた?」
など、普段から日常の行動を聞くようにし、自分自身の行動なども伝えてコミュニケーションを取ることをおすすめします。
2. 携帯電話を離さなくなったら気をつけて!
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恋する気持ちは、何歳になっても変わりません。
恒例の男性でも携帯電話をお風呂場まで持ち込む人もいるほどで、携帯電話を常に気にするようになります。
携帯電話を手放さなくなったり、チラチラと見て気にしている様子があれば、気にしておきましょう。
3. 家族を疑うようになったら気をつけて!
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詐欺をおこなおうとする人は、家族との絆に少しずつヒビを入れていくのが常套手段です。
最初は褒めておき、ターゲットから聞いた不満などを基に、ターゲット家族の不満を徐々にターゲットに伝えて疎遠にさせます。
そのため、家族が指摘したり注意したりしても、耳を貸さなくなるケースが多いようです。
親御さんの様子がいつもと違うと感じたら、問いただしたり怒ったりせず、まずは日常会話を増やしながら、最近変わったことがないかをやさしく尋ねるようにしてみましょう。
バックはヤバイ人?
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ドラマ後妻業では、俳優の高橋克典さんが、結婚相談所「ブライダル微祥」を経営しながら、後妻業ビジネスをおこなうのにピッタリの年配男性をチョイスするダークな役を演じています。
実際には、高橋克典さんが演じる「柏木亨」のように大がかりにカモを探す、黒くて頭がキレる男性がバックに絡んでいる可能性はそれほど高くありません。
「柏木亨」になれない素行が悪いだけの男がバックについているか、同じような性質を持つ女性たちが集まって情報を交換する、もしくは1人で粛々と男性を騙す1匹オオカミが多いです。
オレオレ詐欺や金券貸付なども、フタを開けてみれば一般人や大学生の集まりが多かったことは記憶に新しいと思います。
親が「騙されている」と感じたときの対処方法
おかしいと感じることがあれば弁護士や警察などに相談し、ボイスレコーダーや映像を録画するなどして、少しでも証拠を集めておきましょう。
また、ビクビクした態度を取ることで二次被害に遭ったり、さらなる犯罪に巻き込まれたりする可能性もあります。
毅然な態度で接してください。
ただ、親本人の財産や資産の場合で、結婚話を持ちかけられて貢いだわけではない場合は、罪には問われないケースのほうが多いでしょう。
また、財産目当てで結婚していた場合でも、「財産目当てで結婚した」ということがわかる証拠があるか、殺人事件に発展しない限りは、犯罪に問われるケースは少ないと言えます。
そして、家族にとっては納得できないことですが、ターゲット本人は、心の隙間を埋めてくれたことに感謝すらしているケースが多いのも事実です。
後妻業ビジネスから身を守るために
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お金をむしり取ろうとする人たちは、ドラマ後妻業でもキーワードとなっているように、
を狙います。
犯罪によく巻き込まれる人の特徴として「身寄りのない人」がよく挙がるのは、
・ 周囲からの干渉や入れ知恵が少ない
・ 孤独を感じている心の隙間につけ込みやすい
という点です。
仕事や私生活が忙しく親御さんと疎遠になっている人は、できるだけ連絡を取り合ってコミュニケーションを取り、たまには食事などに出掛けるようにしましょう。
オレオレ詐欺や孤独な老人を狙った他の犯罪からも、身を守りやすくなります。(執筆者:山内 良子)