不動産情報で定評のある「東京カンテイ」が、2019年1月31日に「マンション・一戸建て住宅データ白書 2018」を発表しました。
今回は多岐にわたるデータの中から、読者の注目が高いと思われるストックや価格を中心にご紹介したいと思います。
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目次
供給は全体的に増加、全国では9万6,681戸の供給
2017年は供給が多少伸び悩みましたが、2018年は回復し、全国では6.6%増加の96,681戸と2年ぶりの増加となりました。
これを首都圏、近畿圏、中部圏別に見ると、首都圏が5.0%増加の4万9,884戸、近畿圏が3.0%増加の2万1,089戸、中部圏が22.8%増加の5,701戸となりました。
このデータを見る限り、新築マンションの分譲は高水準で推移していると言えそうです。
新築マンション、中古マンション平均価格は3大都市圏で上昇続く
まず首都圏ですが、2018年の新築マンション平均価格は0.9%上昇の5,592万円、中古マンション平均価格は2.8%上昇の3,348万円となっています。
過去10年で比較すると、2012年の新築マンション平均価格が4,241万円だったことを考えると、2018年は平均価格が約1,300万円増加しています。
また中古マンション平均価格も値上がりしており、2013年の中古マンション平均価格が2,587万円だったことを考えると、2018年は平均価格が約760万円増加しています。
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ただし、平均価格の上昇率には鈍化傾向も見られるため、当面はこの水準での高止まりが想定されます。
次に近畿圏ですが、2018年の新築マンション平均価格は1.7%上昇の4,001万円、中古マンション平均価格は3.4%上昇の2,103万円となっています。
近畿圏も値上がりが続いていますが、その原因には投資資金が首都圏から流れ込んでいるとの指摘もあります。
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最後に中部圏ですが、2018年の新築マンション平均価格は1.5%上昇の3,972万円、中古マンション平均価格は7.1%上昇の1,774万円となっています。
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中部圏では特に中古マンション平均価格の値上がりが激しく、実に6年連続の上昇となっています。
新築一戸建て、中古一戸建て平均価格も3大都市圏で上昇続く
まず首都圏ですが、2018年の新築一戸建て平均価格は1.8%上昇の4,069万円、中古一戸建て平均価格は4.4%上昇の3,485万円となっています。
首都圏においては、新築一戸建てと中古一戸建ての平均価格差が縮小してきています。
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これは、首都圏での新築一戸建ての分譲地が都心から離れているのに対し、中古一戸建てはもともと高価格帯の物件が市場に出回っているためと考えられます。
次に近畿圏ですが、2018年の新築一戸建て平均価格は3.1%上昇の3,073万円、中古一戸建て平均価格は5.9%上昇の2,321万円となっています。
近畿圏では、中古マンション、中古一戸建てとも高い上昇率となっており、中古市場の人気の高さが伺えます。
最後に中部圏ですが、2018年の新築一戸建て平均価格は1.2%上昇の3,093万円、中古一戸建て平均価格は2.9%上昇の2,210万円となっています。
中部圏の新築一戸建て平均価格が近畿圏を上回ったことや、中古一戸建て平均価格で近畿圏とほとんど差がないことが特徴となっています。
不動産価格の上昇は続いている
今回のデータを見る限り、不動産価格の上昇は続いているようです。
土地価格の上昇もありますが、建設コストの増大などその他の側面も大きくなっています。
「マンション・一戸建て住宅データ白書 2018」は、東京カンテイのサイトで「一戸建てとマンションの比較」も含めてご覧いただけます。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)