2019年は株式相場に三重苦とも言えるイベントが今後控えており、運用手法を多様化する必要があります。
株式運用の基本は、安値で買って高値で売ることです。
つまり値動きが大きい銘柄への投資が魅力ですが、景気減速が見えてきたタイミングでは上手くいかないことも。
そんな時には大きく2つの投資手法がお勧めです。
1つは一般生活に根差した生活必需品を取扱っている銘柄への投資、スーパーや製薬企業が挙げられます。
もう1つは、今回ご紹介する高配当株式への投資です。
中でもJ-REITに組み込まれている不動産関連銘柄が分散投資に有効か、検証してみましょう。
目次
高配当株が注目される訳

株式投資最大の魅力は値上がり益(キャピタルゲイン)ですが、その企業が計画している配当金(インカムゲイン)を期待して投資することも魅力の一つです。
特に株式相場が乱高下や下落相場に入った最近の相場環境では、大きな値上がり益に期待できないため配当金に着目し、高配当株式に投資資金が集まるようになります。
逆に上昇相場に入ると、配当利回りより値上がり益を追求した方が売買益は大きいため、高配当利回りは売られやすくなります。
高配当の水準とは
配当利回りの算出は、こちらの方法となります。なお現在の日経平均225の平均配当利回りは、2.2%前後となっています。
配当利回り(%)=1株当り配当金÷株価×100
(例)配当金100円÷株価5000円=2.0%
平均より多ければベターですが、ここでは高配当銘柄を3%以上に絞ってお話します。
「にわか高配当」銘柄には要注意
3%以上の配当利回りがあるからといって、投資して良い銘柄とばかりにはなりません。
先の算出方法を見ると分かるのですが、計画された配当金が同じでも株価が下落するだけで配当利回りは上昇します。
そこで注意したいのが、最近になって高配当になってきた銘柄です。
つまり、そもそも投資してはいけない値下がり銘柄も高配当になってしまうことがあります。
配当利回りに着目した株式投資も、値下がりしては片手落ちですよね。
配当金が安定している企業か、その安定の理由が景気に左右されない一般消費財に起因している企業か、なども投資の判断材料としてください。
J-REITの魅力
そんな高配当銘柄の中で、商業用不動産を所有し家賃収入から安定的な高配当が期待できる「J-REIT」と呼ばれる不動産投資信託をご存知でしょうか?
東証REIT指数は2018年から2019年にかけて上昇基調は継続しており、平均配当利回りも4%を超える水準となっています。
メインの投資という位置づけではなく、分散投資の1つとしてお勧めする投資クラスです。

J-REITとは
リート(REIT)とは「Real Estate Investment Trust」の略称で、投資対象を商業不動産とする不動産投資信託(ファンド)のこと。
米国で1960年から取扱いが始まり、日本版J-REITは2001年から東証に上場され個人でも取引できる上場銘柄です。
多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などをファンドが購入し、その賃貸収入や売買益を原資として投資家に配当金を分配する仕組みです。
投資魅力は高配当と値動きの小ささ(ボラティリティの低さ)に加え、日経平均株価との非連動性です。
2018年を見ると東証REIT指数は6.7%上昇しましたが、日経平均株価は12.1%下落。その差は何と18.8%、分散投資の効果が証明されています。
J-REITが買われる理由
ここでJ-REITが買われている理由をまとめてみましょう。
(2) 不動産開発業者が借入をして物件を購入する際、借入金利が超低位の追い風が続く
(3) 都心の商業不動産市況は堅調で、当面値崩れの見込みはない環境
ところで「日経平均株価が下がれば不動産価格も下落し、家賃も下がるのでは?」と心配する声を聞きます。
確かに不動産価格は株価が暴落すれば下がる可能性はありますが、価格変動は株価ほど大きくなく、家賃も急には下がりません。
通常、賃貸契約2年間は固定ですし、契約更新時は家賃の現状維持はやむをえません。また商業施設であれば、2年を超える長期契約が普通です。
ですので、日経平均株価とJ-REITの値動きは連動せず、日本のマイナス金利が撤廃され、次の景気拡大局面に入るまでの数年はJ-REIT人気が続きそうです。
なぜJ-REITが知られていないのか

皆さんは投資対象として、J-REITをご存知でしたか?
J-REITの取扱いが始まったのが2001年と歴史が浅く、これまでは地銀を中心にした金融機関が投資シェアの60%を占め、海外投資家も25%を占めるなど、個人投資家には馴染みが薄かったようです。
また2001年からずっと株式相場低迷期が続き、2013年から始まったアベノミクス相場は上昇相場だったため、高配当銘柄に人気が集まらない環境でした。
しかしマイナス金利が導入され、株式相場も頭打ちが見え出した2018年以降の相場環境にはとても適した投資クラスで、しばらくJ-REITが有利な投資環境が続きそうです。
身近なリートからスタートするのもよい
J-REITには東証REIT指数に連動した投資信託への投資か、REITそれぞれの個別銘柄に直接投資する方法があります。
出張で使うホテルリートや、家族で利用するスーパー銭湯のリートなど結構身近にあるリートから投資してみるのも1つですね。(執筆者:中野 徹)