仕事を辞めて家庭に入った既婚女性は、その多くが子どもの手が離れてから再就職します。
そのような女性の最大の障害が、パートナーであるはずの夫だったりします。

妻が働くことに理解を示さず、なにかにつけて妻の邪魔をする夫も意外と多いです。
しかし、夫によるそのような行為には、将来の老後貧困にもつながる大きなリスクがあります。
目次
夫が妻の再就職を反対する理由

妻が働くことを夫が嫌がる理由として、次のことが挙げられます。
・「妻は家を守るのが仕事」と思っている
・妻が仕事をすることで自分が家事育児をやるのが嫌
・妻を働かせない=甲斐性があるという思い込みがある
・子どもの頃母親が仕事をしていて寂しい思いをした
・妻を支配したい、お金で妻を服従させたい
・妻が浮気するのが心配
・妻が仕事で生き生きするのが妬ましい
それが原因で夫婦の仲が悪くなり、熟年離婚の話が進んでいる知り合いもいます。
筆者の年代は「女性は結婚したら仕事を辞めて家に入る」が当たり前でした。
だから上記のような考えを持つ夫は非常に多いです。
しかし、増税や年金の縮小が進む今、そのような夫の考え方や行動は将来自分の首を絞めるようなことになりかねません。
妻が働くことを嫌がる夫が陥りやすいリスクとは?
妻が働くことを嫌がる夫は、共働きの夫よりも大きなリスクを抱えます。
そのリスクは2つあります。
1. 夫が病気やケガで働けなくなるリスク
片働きの家庭は夫が高い生命保険をかけていることが多いのですが、その多くは死亡保険です。
就業保険に入っていない限り、病気やケガで働けなくなった場合の保険金は下りません。
また、サラリーマンなら健康保険や雇用保険の傷病手当が出ますが、自営業だと自分で保険をかけない限りは即無収入です。
そうなった場合に家計破綻のリスクを回避できるのは、妻の収入しかありません。
仮に妻の収入がわずかであっても、少なくとも一家が路頭に迷うまでの期間を延長することはできます。
その間に体を治し、生活の立て直しを図ることも可能でしょう。
そもそも、夫が一人で一家を支えるのは、非常に大きな負担ではないでしょうか?
そのような負担を軽くするためにも、妻が働きたいと言ったら止めない方がいいです。
2. 老後貧困のリスク
年金支給が先送りになり、その金額も縮小の一途をたどっています。
そんな中、ある程度貯蓄がある家庭でも、大きな病気や認知症などで生活が立ち行かなくなるリスクはあります。
また、妻が家庭に入っている期間が長くなるほど年齢が上がり、就ける職も限られてきます。
その結果、夫が倒れても妻の仕事が見つからない場合もあり、たちまち生活に窮する恐れもあります。
そのようなリスクを防ぐためにも、妻が仕事をすることを歓迎した方が得策です。
妻が働くことは熟年離婚の回避にもなる

もうひとつ、妻が働くことを嫌がることのリスクがあります。
熟年離婚とそれに伴う老後貧困です。
夫婦の不仲は熟年離婚や老後貧困につながる
最近は熟年離婚による年金分割で、夫婦それぞれの生活が困窮するケースが増えているそうです。
その多くは夫が妻をないがしろにし、それに幻滅した妻が三行半を突き付ける形となっていますが、その逆もあります。
つまり、熟年離婚で老後貧困に陥らないためには、夫婦関係を良好に維持する必要があるということです。
共働きで協力すればお互いを思いやる気持ちも生まれる
熟年離婚を防ぐためには、夫婦双方がお互いの立場を理解する必要があります。
しかし、妻が仕事をせず、夫が家事育児をやらない状態では、いつまで経ってもお互いの大変さや負担は理解できないでしょう。
人間は、自分が経験したことがない辛さを本当の意味で理解できません。
そのため、家庭に入っていた妻は夫が家族を背負って働くことの大変さを身をもって知る必要があり、夫もまた家事育児を担って妻の負担を身をもって知ることが必要ではないでしょうか。
その方が夫婦双方に感謝やねぎらいの気持ちが生まれやすくなり、将来の熟年離婚を防ぐこともできるでしょう。
夫は妻の仕事を応援しよう

夫が妻の働きたい気持ちを尊重することには多くのメリットがあります。
家計を潤し夫婦双方が思いやりの気持ちを持つためにも、ぜひ妻の再就職を応援し、家のことにも全面協力することをおすすめします。(執筆者:大岩 楓)