街に出てきたあなたは、おなかが空いている、とします。
目の前に2軒の飲食店があります。次のどちらに入るか、選んでください。
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B店:お客さんが並んでいない
あなたはどちらのお店で食べたいと思いましたか?
この質問でA店を選んだ方は、もしかすると、「お金を増やす」ことにおいては損をしやすい人かもしれません。
どういうことでしょうか。見てみましょう。
目次
みんなと同じが安心するのが一般的
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一般的にみんなと同じような行動をしたくなるのが人間です。
行動経済学では「同調行動」や「ハーディング(群れ)現象」などとも呼ばれます。
もっと分かりやすく言うと「赤信号、みんなで渡れば怖くない」に近い心境です。
前述の問題のように、他に判断基準がない場合は、A店の「行列ができている」方がおいしい料理が出てくる可能性があります。
もちろん、たまたまA店の料理人やサービスの人が病欠をしていて、料理が出てくるのが遅いだけかもしれませんが。
これがお金の話になると、大きく変わってきます。
お金で起こる困った同調行動で仮想通貨・不動産バブルは起こる?
お金を増やしたい状況では、どのようなことが起こるでしょうか。それはしばしば「バブル」という形で起こりやすくなります。
例えば記憶に新しいところでは、2017年の仮想通貨バブルです。
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ちなみに仮想通貨はもちろん、流通している普通の通貨・紙幣もいわば仮想通貨の一種です。
そのため、本来の利用価値は決済手段です。
しかし、ある時から投機の対象として扱われ始めました。当初は認知度が低く、人気もありませんでした。
いわゆる行列ができていない状態でした。
ですが、2017年前ごろから認知度が上がり、行列ができる状態になりました。
そうすると、これまで仮想通貨に興味のなかった人でさえ、なんとなく「行列に並びたくなります」。これが同調行動です。
その結果として、本来の価値よりも高い状態になってしまいました。いわゆる実態を伴っていない泡、バブルと呼ばれる状態です。
そして、皆様ご存知のように、過去の不動産バブルと同様に、やはりはじけてしまいました。
通貨や紙幣「これは100円や1万円と等しい価値がありますよ」という約束事だけで成り立っている。
そのため、じつは広義の意味では普通の通貨も性質的には認められている仮想通貨という一面がある。
お金を増やすときには、行列のできていない方を選ぶことを考える
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前述のように、お金を増やすときにおいては、「行列のできていない店を選ぶことが重要」という教訓になり得ます。
そして、この教訓は、資産運用全般において言える「肝」となる考え方です。
誰しも、景気が良く株価などが上がっている時には「買いたい」という列に行列をなしやすいものです。
反対に、金融危機などで短期間に大きく株価などが値下がりすると、「売りたい」という列に行列をなしやすいものです。
しかし、お金を増やす行為においては、それは単純に「高く買って安く売る」という、損をしやすい行動です。
日常生活とお金を増やす行為では、しばしば正解が反対になることがありますので、冷静に判断をしたいところです。(執筆者:佐々木 裕平)