2019年10月から消費税が10%に増税します。
政府は景気減速を避けるためのさまざまな対策を考えています。
キャッシュレス決済時のポイント還元もそのひとつですが、この施策は高齢者にメリットがないとの声も聞かれます。
果たして、ほんとうにそうなのでしょうか。

目次
キャッシュレス決済時のポイント還元の対象と還元率
キャッシュレス決済で買い物をした場合、購入金額の5%または2%がポイント還元されることになっています。
・ 2%還元:コンビニエンスストア、外食チェーン
などが対象です。
ポイントが還元されると、実質的に負担する消費税率は増税後もそれぞれ5%、8%です。
ただ、ポイント還元のための予算は2,798億円です。いつまでも、続くわけではありません。
高齢者にもメリットがあるのか
ポイント還元されるのはキャッシュレス決済のみで、現金払いは対象外です。

「キャッシュレス決済が対象であれば、高齢者にはメリットがないのでは…」と考える向きもあります。
しかしながら、そんなことはありません。
総務省統計局のデータに、家計消費状況調査があります。
その中に「世帯主の年齢階級別電子マネーの利用状況」という統計がまとめられています。
最新となる平成30年の平均値がすでに報告されていて、総務省総計局のサイトに掲載されています。
「電子マネーを利用した1世帯当たり平均利用金額(円)」の総世帯の平均は、1万6,777円/年です。
一方、60歳~64歳は1万8,673円、65歳~69歳は1万7,842円、70歳~74歳は1万6,553円となっています。

いずれも、平均値またはそれ以上の金額を使っていることがわかります。
キャッシュレス決済によるポイント還元は、高齢者にもメリットがあります。
上記調査には、年代別のネットショッピング利用に関する統計もあります。
同じように、「高齢者だからネットを利用しない」といった結果にはなっていません。
「高齢者にメリットがない」という情報に惑わされない
「高齢者にメリットがない」という趣旨の記述は、あるシンクタンクの調査員の作成したレポートで目にしました。
調査員の中には、「電子マネーは高齢者に関係ない」というイメージを持っている方もいるようです。
しかし実際には、ご高齢の方がnanacoやwaonといった電子マネーで決済をしている様子をコンビニエンスストアやスーパーで目にする機会は少なくありません。

少額の硬貨をやり取りする煩わしさのないメリットをわかっているのは、むしろ高齢者ではないかと感じるほどです。
固定観念にとらわれると、気づけば激変する環境に対応できていないということになりかねません。
消費増税対策もいろいろな視点をもって見てみることが大切です。(執筆者:金子 幸嗣)