今月15日にようやく所得税の確定申告が終了しました。
多くの方はホッと一息ついていると思います。
ただ、中には異動や引っ越しなどといった事情で「還付があったのに確定申告ができなかった人」もいるのではないでしょうか。
そんな方へ今回は「還付申告」について解説します。
目次
還付申告は確定申告期間と関係なく5年間有効…ただしカン違いに注意
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還付申告とは、正しくは「還付請求のための確定申告」です。
還付に関しては、確定申告期間と関係なく、その年の翌年1月1日から5年間は確定申告書を提出することができます。
ここで注意したいのが「その年の翌年1月1日から5年間」という還付請求可能期間です。
還付請求の確定申告でよくある勘違いが「その年の所得税の確定申告の申告期限である3月15日から5年間は確定申告書を提出できる」というもの。
還付請求に関しては提出期限が定められていません
還付請求の起算日はあくまでも所得計算のベースとなる暦年の翌年1月1日になります。
と思っている方もいるかもしれません。
しかし2014年分の還付請求期間は2015年1月1日から2019年12月31日の間です。
2020年1月1日以降、還付請求はできません。
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こんな人は還付申告をしましょう
今回の確定申告期間を過ぎても、以下のような人は還付請求のための確定申告を行えます。
・ あとから医療費の領収書が出てきた
・ 昨年末に住宅ローンを組んだけど申告が間に合わなかった
・ 医療費があったけど、保険や高額療養費の金額が確定しなかったためにどうしたらいいかわからず確定申告できなかった
・ 昨年の途中で退職したため、年末調整しないままに過ごしてしまった
・ 地震や風水害で自宅や家財に被害があったけれど確定申告し忘れた
・ ふるさと納税についてワンストップ特例の申請も確定申告もやっていない
なお、使用する用紙は通常の確定申告と同じです。
添付する書類もマイナンバーカードのコピーを含め、通常の医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除などと同様です。
還付申告の注意点
ここまで読んで、「5年も猶予があるんだ!やったー!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
また「翌年1月1日から5年間有効なら、税務署が混む2月16日から3月15日にわざわざ確定申告しなくてもいいんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。
実際には、あまりに時期を過ぎてしまうと、本来受け取れるメリットを受け取れなくなる恐れがあります。
なぜなら、今月15日終了した確定申告は今年6月から納付することになる住民税の計算に影響するからです。
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住民税の計算は3月後半から4月にかけて、各自治体で行う
今年の6月から納付することになる住民税の計算のベースは、昨年末の年末調整や今月15日までの確定申告で取り扱った所得税の計算のベースである所得金額と同じです。
今回の確定申告での所得額が低ければその分住民税額が少なくなりますし、逆に多ければ住民税額は多くなります。
仮に年末調整で所得額が多額になったけれど、医療費控除を行えば少額になる場合、還付申告を遅く行えば、住民税は高額のままになってしまいます。
さらに、自治体の公的サービスの多くは住民税の計算のベースである所得額を元に判断されるため、生活のさまざまな面に影響を及ぼす可能性があります。
詳しくは、こ「還付申告5年間有効」の落とし穴について書いた記事をご覧ください。(執筆者:鈴木 まゆ子)