ネット銀行が続々と変動金利で年0.4%台を打ち出す中、メガバンクや大手銀行は変動金利の水準で苦戦を強いられています。
そこで、目を付けたのが3年固定金利などの短期固定金利で、年0.4%台を打ち出す方法です。
ただし、3年固定金利などは当初の金利こそ低いですが、4年後の金利水準や店頭金利からの引下幅では注意が必要なのも事実です。
今回は、この施策を推し進めている三菱UFJ銀行を例に、結局どの金利タイプがお勧めなのか検証します。
目次
三菱UFJ銀行は「固定3年プレミアム住宅ローン」に注力
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最近の住宅ローン市場では、ネット銀行が変動金利で年0.4%台を打ち出したこともあり、顧客の金利水準に対する目線が一段と下がっています。
一方で、大手銀行の一部には変動金利で年0.4%台を打ち出している所もありますが、これは将来の取引を睨んだ戦略で、住宅ローン自体ではほとんど利益が出ていません。
三菱UFJ銀行も一時は積極的に変動金利を引き下げていましたが、メガバンクは世界で勝負しなければならないため、住宅ローンでも一定の利益が求められます。
故に、現在の三菱UFJ銀行の変動金利は年0.625%と他行よりも割高感は否めず、住宅ローンのホームページにおいても大きくは表示していません。
一方で、特に力を入れているのが3年固定金利のプレミアム住宅ローンといわれるもので、3月の金利は年0.49%と何とか0.4%台を打ち出し、お得感を訴求しています。
固定3年プレミアム住宅ローンがお勧め出来ない理由
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他行と迷っている顧客にとっては、三菱UFJ銀行が0.4%台ということでまた迷ってしまいそうですが、4年目以降の店頭金利からの引下幅が小さくなる点には要注意です。
3月の年0.49%という数字は、店頭金利である年2.94%から、年-2.45%した値です。しかし、4年目以降の引下幅は最大でも年-1.85%です。
このように現在と同じ水準で推移したとしても、4年目以降の金利は必ず上がります。3年固定金利で年1.09%は、現在の金利水準では有利とは言えません。
三菱UFJ銀行としても、金利水準と利益の中で打ち出した施策とも考えられますが、4年目以降の金利がほぼ倍になると、顧客とのトラブルも想定されます。
3年固定金利終了後に10年固定金利や20年固定金利タイプ、あるいは変動金利タイプに変更することは出来ますが、店頭金利からの引下幅は最大年-1.85%のままです。
3年後の店頭金利が同じであれば、4年目以降に変動金利を選択すれば、変動金利は年0.625%となり、現在と同じ金利水準になりますが、それは誰にもわかりません。
結局、変動金利の年0.625%がベターな選択か
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このように見てくると、
上記のような変に金利水準をこねくり回した商品よりも、スタンダードな変動金利がベターな選択のように感じます。
みずほ銀行の巨額損失、ドイツ銀行の経営不振など、世界的な景気減速懸念はさらに強まりつつあります。
メガバンクの2トップである、三菱UFJ銀行と三井住友銀行を他行と比較する時は、安心という要素も加味すると良いかと思います。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)