新元号が「令和」と決まりました。
本年、2019年は御代(みよ)代わりで、元号が変わるとともに、参院選も行われます。
亥年の選挙は、12年に一度のサイクルで、統一地方選挙と参院選が同時に行われます。
亥年の選挙は、地方選挙と国政選挙が同時に行われるために、「選挙疲れ」が原因となることもあってか、自民党は大敗するという有り難くないジンクスがあります。
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目次
12年前の亥年選挙も争点は年金でした
ひとつまえの亥年選挙は2007年、第1次安倍内閣でした。
年金記録問題で内閣支持率が急落し、結果、ジンクスどうりに参院選に大敗し、退陣に追い込まれました。
年金は選挙の争点となることが多いです。
年金関連でヘタを打つと、高齢者の支持を失います。
高齢者は、日々の生活に時間的な余裕があることもあり、投票率が他の世代と比較して高いです。
つまり、年金は選挙と直結するのです。
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国会議員は年金に詳しい
選挙に直結しますから、国会議員は与野党を問わず、年金に詳しいです。
地上波の討論番組で、
コメンテーター
経済評論家
国会議員
という組み合わせで、年金をテーマに議論が行われることがあります。
このとき、正確な発言をしているのは国会議員です。
年金は法律の体系なのですから、立法作業にかかわる国会議員が年金(正確には、年金法)に詳しいのは当然のことです。
何らの専門知識を持たないコメンテーターは言うに及ばず、経済評論家と称する人々の多くも、年金を「国が管理する金融商品」だとカン違いしているケースが多く見受けられます。
2019年の参院選は、なぜ、7月に行われるのか?
12年ぶりの亥年選挙となる今年、参院選は7月に実施予定となっています。
7月とえいば、年金の振込がある偶数月・6月の翌月です。6月の振込分は、4月・5月分です。
2019年度は、わずか0.1%にすぎませんが、4月分から年金支給額の額面金額が多くなっています。
年金受給者は、自分が受給する年金額は1円単位で記憶している方も少なくありません。
支給額から、1円でも減額されるようなことがあれば、朝から各地の年金事務所の門前には行列ができるのです。
逆に、1円でも多くなっていれば、まずは好機嫌。「安倍さん、あるがとう」となるのです。
はたして、この展開は単なる偶然なのでしょうか?
ホントの年金の相対価値は下がっている
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2018年、物価変動率は1.0%でした。名目手取り賃金変動率は、0.6%でした。
この場合、ルールによって、変動率の低い賃金に合わせて年金額の改定が行われるのです。が、マクロ経済スライドによる調整が加わります。
スライド調整率が0.2%。繰越である未調整分スライド率が0.3%。
結果として、年金額は「0.1%のアップ」となります(0.6 ‐ 0.2 – 0.3 = 0.1)。
額面上は0.1%増額されるものの、この間、物価は1.0%アップしているわけですから、年金の相対的価値としては物価に対して、実質上、0.9%減額となっていることになります(1 – 0.1 = 0.9)。
一般的な年金受給者にとっては、こんな細かいことはどうでも良い話なのです。
ただ、受給額さえ増えていれば、上機嫌。何の問題もないのです。
国会議員は、単に年金制度に詳しいだけでなく、このような年金受給者の特性も熟知しているのです。(執筆者:金子 幸嗣)