株や投資信託などを買ったことのある人は多いと思います。
しかし、大きな損を出し塩漬けになっている、あるいは過去に損をした経験から、その後は遠ざかっているという人も少なくありません。
なぜうまくいかなかったのでしょうか。

投資に失敗するパターンがわかれば、どのようにすれば失敗しないかの「ヒント」が見えてきます。
ここでは、資産運用で心得ておきたい5つのポイントをお伝えします。
目次
低金利時代だからこそ資産運用

低金利時代が続き、銀行に預金していても資産はほとんど増えない世の中です。
少しでも増やせればと資産運用を始めようとしたものの、うまくいかなかった経験がある方は少なくありません。
なかには家族に内緒で投資をし、損失を出したことを家族にも言えずにいる人もいるのではないでしょうか。
新聞や書籍、インターネットなどで情報収集をすることは重要です。
しかし、その情報をどのように活用するかは運用者次第。
自分の資産の運用はご自身で行うか、運用手数料を払って金融機関に委ねるかしかありません。
最近はロボアドバイザーなどもあり、運用を誰かに委ねる方法も増えています。
しかし、自分自身の資産を自ら運用することによって、世の中の様々なことに興味を持ち、学ぶモチベーションにもつながります。
投資はギャンブルではありません。
きちんと学べば、着実に資産を増やしていくことも可能です。
資産運用を行う上で心得ておきたい5つのポイント
私が考える5つのポイントは、
2. 自分のスタンスを持つ
3. 世の中の動きに興味を持つ
4. 人間ならではの心理が働くことを理解する
5. 全ては自己責任
ひとつずつ確認していきましょう。

1. 資産運用の目的を明確化する
例えば、将来の老後資金とし退職金を運用しようと考えている方。
この場合、運用原資は大切な資産ですので、大きく毀損してしまうことは許されません。
一方、余裕資金(例えば100万円)を運用して、来年家族で国内旅行するくらいの資金(旅行資金10万円)を作りたいという場合の運用は全く考え方が違います。
その他にも、
・子供の教育資金
・5年後の海外旅行資金
・25年後の退職後の老後資金
などのように運用期間と目標金額によって運用スタンスは変わるでしょう。
もちろん、どれか一つではなく、複数の目的があっても構いません。
その場合も絶対に必要な資金なのか、できれば実現したい資金なのかを考え、自分の投資の目的を明確にすることが重要です。
「投資」と「トレード」
株や投資信託、為替などに投資をする際、「投資」と「トレード」という考え方があると考えられます。
「投資」は、将来の値上がりを期待して中長期で取引を行う方法。
「トレード」は日々の値動きに注目し、主にチャート分析で短期の値上がりを期待して取引を行う手法です。
日頃、トレーディングを本業にしている人ならまだしも、本業が別にあり、常に相場を眺めていることができない人にはトレードは向かないと思います。
2. 自分のスタンスを持つ
世の中にはさまざまな投資対象があります。
国内外の株式や投資信託、REIT、国債や企業などの債券、FX(外国為替)金やプラチナなどの貴金属、商品取引、不動産などは全て投資対象になり得ます。
しかし、すべてに精通するのは困難です。
さまざまなものに興味を持つことは良いことですが、何でもかんでもやってみるのではなく、その中でも自分の興味を持てそうなもの、比較的情報を得やすいものを選んだほうが良いでしょう。
もちろん、分散投資することは否定しません。
投資対象や投資時期を分散することでリスクを抑えることができます。
3. 世の中の動きに興味を持つ
値動きに一喜一憂するのは良くありませんが、関心を無くしてしまっては世の中の動きに対応できません。
定期的に得られる配当や株主優待に着目した投資もありますが、資産を増やそうと考える場合の基本は「安く買い、高く売ること」です。
どの銘柄に投資するかを考え、保有した後は売却のタイミングを考えることになります。
相場は常に動くもの。
上がることもあれば下がることもあります。
この時「なぜ上がったのか」「なぜ下がったのか」を考えることが重要です。
しばらくすると、どんな時に上がり、どんな時に下がるのかがわかるようになります。
新聞や雑誌インターネットなどで最新の情報に触れ、値動きの分析をすることも重要です。
4. 人間ならではの心理が働くことを理解する
最も厄介なのは人間ならではの心理です。
最近はAIによる運用も行われています。
アルゴリズム取引と言われ、過去の分析をもとにある条件でコンピューターが機械的に売買を行うシステム取引です。
コンピューターに心理はありませんが人間の場合、微妙な心理が影響します。
少し値下がりすると「きっとまた戻るはず」。
大きく値下がりすると損切りしにくくなり、少し値上がりすると「損しないうちに利益確定しよう」と考えます。
利益確定した後や、損切りした後に値上がりした時には損した気分になってしまいます。
「行動心理学」という学問があります。
人間は1,000円投資し、100円の利益が出た時の喜びよりも、100円の損が出た時に感じる痛みの方が大きいと言います。
ジャンボ宝くじの1等当選確率は1千万分の1。
どんな買い方をしても元が取れる確率は3%程度。
ほとんど損するとわかっていても買う人がいるのもひとつの人間心理です。
まさか、大切な生活費まで宝くじに突っ込む人はいないでしょうが、公営ギャンブルなどで生活費まで使い込んでしまう人がいるのは人間心理の怖いところです。
投資にはさまざまな「格言」があります。
先人たちが、相場で苦労した経験をもとに生み出されたものであり、行動心理学的に犯しやすい過ちを戒めるものがたくさんあります。
こうしたものを学ぶことで、心理が行動に与える影響を客観的に知ることも重要でしょう。
5. 全ては自己責任
ここまでの4つのポイントも踏まえ、最も大切なのは「投資はすべて自己責任」ということです。
証券会社の営業マンのアドバイス、信用している友人・知人から勧められた銘柄、インターネットはもちろん、様々なメディアから得た情報などいろいろな情報源がありますが、最終的には自分が判断することです。
儲けても損しても自分次第です。
経験が重要、勝ちっぱなしの人はいない

相場は常に動いています。
また、確実に将来上がるか下がるかを知る方法はありません。
相場の予測は「天気予報」に似ています。
晴れると思っても雨が降ることもあり、逆もしかりです。
ですが、過去の天気図や、気圧配置などから経験的に判断し「おおむね当たる」のが天気予報です。
投資は「いかに負けを小さくするか」が重要です。
勝ちっぱなしの人はいません。
予測が外れた時に素直に受けとめ、損切りするのも自己判断。
判断には経験も必要です。
負けから敗因を分析し、次に生かし、経験を積むことが重要です。
資産運用を通して学ぶことは少なくありません。(執筆者:西山 広高)