年金事務所でお客様のご相談を受けていますが、昨今は障害年金の相談が増えている印象を受けます。
交通事故や脳血管障害などで手足に障害が出て生活に支障があるというようなケースもありますが、「うつ病」などの精神疾患での相談が圧倒的に多いです。
うつ病で障害年金を受けられることがあまり知られていないために、発症からずいぶんたっての相談が多く、障害状態が障害年金に該当するにもかかわらず受給できないケースがかなりあります。
しかるべき時に障害年金を受給できるよう、障害年金についてお伝えします。
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目次
障害年金とは
障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」、「障害厚生年金」の2種類があります。
どちらの対象になるかは、その病気やケガで初診日(初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)に加入している年金の種類によって決まります。
国民年金に加入していた場合には「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合には「障害厚生年金」の対象です。
「障害厚生年金」に該当する方がはるかに有利
障害年金には、障害等級が設定されています。
「障害厚生年金」の障害等級には1級、2級、3級がありますが、「障害基礎年金」は1級、2級の2等級のみです。
3等級あること、そして1級、2級なら同時に「障害基礎年金」も受けられることから「障害厚生年金」に該当する方がはるかに有利です。
精神疾患に限らず、体調を崩して会社を辞めなければならない場合、在職中(厚生年金加入中)に医療機関を受診しておくことが大事です。
「障害年金」受給のために必要なこと
1. 保険料納付要件を満たす
障害年金受給のための保険料納付要件は、
2. (1) が満たせない場合でも、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
なので、会社に勤めて1年以上厚生年金に加入していれば、(2) で要件をクリアできるので問題ありません。
国民年金の場合、自分で保険料を納付しなければならないので納め忘れも起こります。
直近1年の間に1か月でも未納があると(1) の要件を満たす必要があります。
免除の手続をしてあれば未納とは違い、期間の判断で納付と同じ扱いになりますので、国民年金保険料の納付が経済的に厳しい場合でも放置しないことが大切です。
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2. 初診日を確定する
うつ病は、配置転換やパワハラで誰もがかかる可能性のある病気です。
例にとって説明しましょう。
発症が古い場合、いろいろお話ししながら当時の状況を明らかにしていきます。
体調が悪いと思ってもいきなり精神科や神経内科を受診するとは限りません。
内科で不眠症を訴えて、紹介状を持って神経内科に行った場合、最初の内科での受診が初診です。
円形脱毛症の皮膚科からの紹介というようなケースもあります。
ご本人が最初に神経内科にかかったとおっしゃるので、神経内科で初診証明を取るための書類を渡しました。
しかし、実際には神経内科の前に皮膚科を受診していました。
こうしたケースのように、実は前医があったということになると初診証明は取り直しです。
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また、初診証明を取れない次のような場合には、初診日を確定するために別の手続きが必要です。
・ 初診の医療機関が廃院になっている。
・ 5年のカルテ保存期間を過ぎてしまっていて記録が残っていない。
こうした場合には、初診日を確定するために
必要があります。
「受診状況等証明書が添付できない申立書(pdf)」は日本年金機構のホームページから入手できます。
「客観的資料」については、受診を証明できる証拠となるもので、
・ 確定申告の医療費控除申請に添付した明細書
・ 病院の診察券や領収書、お薬手帳
などです。
これらがそろえば申立をできますが、認められにくいと言えます。
3. 障害認定日の診断書を取る
傷病の初診日から1年6か月たった日を「障害認定日」といいます。
病気、ケガによってはもっと短いものもあります。
その日から3か月以内の診断書を取ります。
初診と同じ医療機関の場合は初診証明は不要です。
記録がないなどでその時期の診断書を取れない場合は認定日請求はできなくなります。
認定日での診断書を取れないケースや認定日時点の症状が軽度でその後悪化した場合には、「事後重症請求」という方法をとります。
現在の診断書を提出して、過去にはさかのぼらず今後だけ障害年金を受けられる請求のしかたです。
その場合でも初診証明は必要です。
風邪以外での医療機関の受診記録はすべて保存する
昔の初診証明や診断書が取れて認定日請求が認められても、時効の関係で5年より前のものは支払われません。
お客様から、発症から現在までの症状の変化や当時の就労状況を伺うのですが、記憶があいまいなことが少なくありません。
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障害年金を受けるようなことにならないに越したことはありませんが、誰にでも起こり得ることであり、風邪以外で医療機関にかかったらすべて記録して、診察券、領収書などを保存するぐらいの心掛けが必要です。
詳しくは年金事務所に直接相談してください。(執筆者:高橋 良子)