前回のコラムで、特に女性向け医療保険に加入する必要はなく、加入するとすれば男女共通の通常の医療保険で充分という趣旨の記事を書きました。
今回は、もし医療保険に加入するとすればどのような医療保険に加入すればよいのか、併せてよく聞かれる「筆者自身はどうしているの?」という疑問も含めて解説していきたいと思います。
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目次
医療保険は何のために加入するか
病気やけがで通院・入院や手術が必要となり、それが長期にわたる場合には当然病院等に医療費の支払いが必要です。
それに加えて、治療が長期にわたり仕事ができない場合には、サラリーマンは会社から給料がもらえなかったり、自営業も収入がなくなることもあります。
医療保険に加入する主な目的は、病院等に医療費の支払いと仕事ができなくなることによる減収に備えるためです。
これらに対処できるかどうかで加入すべきか判断することが重要です。
A. 会社員や公務員等で勤務先の健康保険に加入している
高額療養費や傷病手当金の制度が使えるため、自由に使える貯蓄が200万円以上ある場合などは医療保険が絶対に必要ということではありません。
B. 自営業等で国民健康保険に加入している
高額療養費の制度は使えますが、傷病手当金の制度が使えません。自営業の方にとっては減収というリスクがかなり大きい場合もありますので、貯蓄が少ない人などは減収のリスクがどの程度あるかを判断して医療保険の加入を検討すべきです。
C. 公的な健康保険に未加入
公的健康保険に未加入の場合は、窓口負担は全額に加えて高額療養費や傷病手当金の制度がともに使えないため、医療保険を検討する前に自営業の場合は国民健康保険、パートやアルバイトなど非正規の勤務の方は、まず時間数を増やすなどで勤務先の健康保険に加入、もしくは親族の健康保険の扶養家族等として公的健康保険に加入しましょう。
どのような医療保険に入るか
A の方は特に加入が必要というわけではありません。
B やC の方、A ~C の区分とは別に入退院をくり返しそうな方やどうしても一人部屋など差額ベッドが必要な方などは医療保険を検討した方が良いでしょう。
では、どのような医療保険に加入すればよいのでしょうか?
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医療保険を検討するポイント
2. 一般的に入院すれば5,000円/日や1万円/日などの保障があります。
Aの方は3,000円~5,000円/日程度、BやCの方、入退院をくり返しそうな方やどうしても差額ベッドが必要な方などは高額療養費や傷病手当金が使えない場合も考慮して1万円/日など多めを目安にしてください。
3. 保障期間は終身で、保険料の払込期間は60歳払済・65歳払済・終身払いなどがありますが、当然、短期間に払うほど保険料が高くなります。
将来にわたって解約を前提としない方や長生きしそうな方は、60歳払済み・65歳払済などの短期払いを検討してもいいと思います。
4. 通常の医療保険は入院すれば5,000円/日などの柱となる主契約と、各種おまけの保障となる特約に分かれています。
特約で検討に値するものは、がんの一時金特約と先進医療特約の2つでいいと思います。
がんは年齢とともに罹患率も高くなり、最近は入院よりも通院による治療が増えており、かつ治療が数年と長期にわたる場合もあります。
通院が数年にわたる場合は、通常の医療保険は入院が要件になっていますので使えないため、がんと診断確定された場合に入院でも通院でも、一時金が1年~2年ごとに複数回出るタイプの特約は有効です。
保険会社によっては2回目以降の診断給付金の支給要件が入院に限られている場合がありますので、通院も対象になっているものを選びましょう。
先進医療は厚生労働省に認定された先進医療を一部の認められた医療機関で実施した場合に限られ、生涯で先進医療を受ける確率は極めて低いのが実情です。
しかし、技術料の負担は全額(健康保険の3割の自己負担や高額療養費は使えません)自己負担となり、陽子線治療や重粒子線治療など数百万円単位と高額になる事もあります。
保険料は月額100~200円程度なので、少額の保険料で大きな保障がある保険らしい特約といえるでしょう。
筆者が加入している保険
最後に「筆者はどうしてる?」とよく聞かれますが、すべての病気を保障する通常の医療保険には加入せず、代わりにがんに保障を特化した主契約のがん保険にがんの先進医療特約を付加しています。
理由は前項で書いた通り、通院による治療が数年単位となる場合や先進医療に備えるためです。(執筆者:後藤 誠道)