「払済保険(はらいずみほけん)」というのをご存じの方もいらっしゃると思います。
保険の担当者に、
「保険を解約したい」
などと言うと、必ずと言っていいほど提案される方法です。
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ここでは、終身保険をお得にする方法として、払済保険の活用をご紹介します。
目次
払済保険の特徴
払済保険の特徴は、
・ 払済保険の原資は、元となる保険のその時点の解約返戻金。
・ 払済保険の保障内容は、一生涯の死亡保障のみ(終身保険)。
・ 保険料払込終了後は、払済保険に変更できない。
・ 健康状態を含め、審査は一切不要。
払済保険にすれば、
しかもそのまま置いておくと解約返戻金が増えるので、資産形成にもなります。
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払済保険にした場合のシミュレーション
≪表1≫は、下記の実際の保険を払済保険にしたらどうなるかをまとめたものです。

払済保険は解約返戻金が原資ですから、解約返戻金が累計保険料を上回った時点で払済保険に変更すると、実際に支払った保険料(累計保険料)に対する保障の倍率が元の終身保険の倍率より大きくなることが、≪表1≫から分かります。
ちなみにこの倍率が(1) より(2)、(2) より(3) が小さくなるのは、被保険者(契約者と同人)の年齢が増すからでしょう。
加齢とともに変化する死亡率(一般的には高くなる)を反映していると考えられます。
また、この3倍以上という倍率は大変高いものです。
被保険者の加入年齢と性別、保険料払込期間、加入当時の保険料率の関係で、このようになっています。
倍率はこれらの条件の違いで保険ごとに変わりますが、払済保険の仕組み自体は変わりません。
検討にあたっての注意
ご検討にあたっては以下のことをご了承ください。
保険会社は将来の解約返戻金は開示できますが、将来の払済保険の金額は試算できない(今現在のものしか試算できない)ようであるということです。
≪表1≫に令和2年以降の情報がないのは、こうした理由です。
契約者は払済保険が500万円に近づいたタイミングで変更しようと考え、毎年問い合わせています。
払済保険の仕組みは、その時点の解約返戻金を保険料として一時払終身保険に加入するのと同じです。
従って、もっと有利な一時払終身保険があり健康状態に問題がないなら、解約返戻金が累計保険料を上回った時点で解約返戻金を受取り、そちらに加入するのもお得です。
注意点
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低解約返戻金型終身保険は、保険料を払っている間の解約返戻金を低解約返戻金型ではない終身保険の7割程度に抑えているので、この方法はおやめください。(執筆者:金澤 けい子)