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9割超のコンビニが人手に不安
政府は4月5日、コンビニ加盟者の取組事例調査の結果をリリースした。
各オーナーによる従業員確保の取組などの個別事例を収集する目的で行われた。
今回のリサーチでは、「1日当たりの売上金額は過去数年の傾向としてどのように変化しているか」という質問には5割が減ったと回答。
しかし、増えたという回答も3割あった。
ちなみに、日本フランチャイズチェーン協会が発表するコンビニ店舗売上高は2017年の既存店ベースで小幅に減ったが、2018年は増えており、一概に事業環境が悪いとはいいづらい状況だ。
そして、パート・アルバイトを含めた従業員の状況については6割が「従業員が不足している」と回答。

「従業員は足りているが何かあれば運営に支障がでると思う」との回答3割超を加算すると合計で9割超となるため、多くの店で人員に関して懸念がある状態というのが明るみになった。


人手が足りていない理由に関しては「募集しても来てくれない」、「求められる待遇を提示できていない」などとされている。
人手維持に効果的とみられる施策として、「時給アップ・能力給の採用」、「本部サポート」が挙がっている。
人手とオーナー収入のトレードオフ
ポイントは、人手が足りない理由の「求められる待遇を提示できていない」と、効果的施策とみられる「時給アップ・能力給の採用」だ。
要はシンプルに賃上げなどを進めればいいというわけだが、これがかなり難しいのだろう。
フランチャイズでは収益から本部に支払うFC料を引き、そこから人件費などを引いて最後に残ったものがオーナーの収入になる。
人件費が上昇すればオーナーの収入は減る。
今現在、賃上げには力を割いてきたが、これ以上はハードルが高いということだろう。
フランチャイズ由来の利益減少か

こうした状態ならば、「オーナーは過酷な状況に立たされているのに、コンビニ本部が利益を上げているのはおかしい」という意見も出てくるだろう。
人手が足りず、コンビニの代名詞である「24時間営業」を続けられないという問題も、元をたどればこの人手(ひいては人件費)とオーナー収入のトレードオフがあるように思える。
要は、人件費が上がるような経済状況下では本部とフランチャイズが共存するというスキームは成り立ちづらいと考えられる。
4月には、ファミリーマートが24時間営業見直しも選択肢に入れ、営業時間を短縮した店舗の運営を試すと報じられた。
ほかのコンビニ企業も含めてこうした流れは普及していく可能性は高そうだ。
その結果、コンビニ企業のフランチャイズから来る利益は減少していくだろう。
こうした人手不足とフランチャイズスキーム両方の要素がミックスした構造的問題があるので、今後はコンビニ各社の業績には警戒すべきだ。(執筆者:高橋 清志)