iDeCoの老齢給付金を年金形式でもらう場合「公的年金等に係る雑所得」、一時金形式でもらう場合は「退職所得」となり、受取時の税制メリットとして公的年金等控除額や退職所得控除額の存在もよく言われます。
ところでiDeCoにも公的年金等と同様に障害状態になった場合にもらえる給付金や、遺族がもらえる給付金もあります。
障害年金と遺族年金と同様非課税かと言えば、厳密には異なるものもあるので注意が必要です。

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障害給付金は非課税所得
一定の障害状態になった場合にもらえる「障害給付金」は、障害年金と同様に所得税・住民税非課税の扱いです。
なお障害給付金に限らずiDeCoの給付金をもらう場合は、投資対象とした定期預金・投資信託などの金融商品を現金化します。
特に投資信託の場合は変動リスクがあるので、掛けた金額より減少することも考えられます。
死亡一時金は金額上限つきで非課税

iDeCoに加入していた方が給付金をもらわず亡くなった場合、遺族には死亡一時金が支給されます。
一時金と決まっているので、年金形式ではもらえません。
このため、遺族年金とは異なる取り扱いがされますし、かといって受取人の退職所得になるわけでもありません。
原則は相続税のみなし相続財産に該当
この死亡一時金は、いわゆる死亡退職金と同じ扱いです。
死亡から相続人への支給確定まで3年以内であれば、所得税や住民税ではなく、相続税がかかわってきます。
相続税のみなし相続財産に該当します。
法定相続人1人当たり500万円という、一定の非課税枠があります。
死亡一時金のほか死亡退職金があれば、合算されて非課税枠が判定されます。
例えば死亡退職金900万円、死亡一時金200万円、法定相続人2人という状況であれば、死亡退職金・一時金の非課税枠は1,000万円のため、100万円が相続税の課税財産です。
死亡一時金も、給付時の時価に左右されます。
運用商品が全て定期預金であれば金額は読めますので、死期が読めるのであれば投資信託から定期預金へのスイッチングが望ましいでしょう。
一時所得に該当する場合も
死亡から支給確定まで3年超であれば公的年金の未支給年金と同じ扱いで一時所得となり、所得税や住民税の課税対象となります。
一時所得の場合50万円の特別控除があるため50万円を下回っていれば所得0ですし、所得が発生したとしても50万円の差し引き後に対し2分の1をかける優遇はあります。
ただ最低でも500万円ある相続税の非課税枠よりはるかに小さく、また一時所得は総合課税ですので、所得の状況によっては決して小さい負担とは言えない場合もあります。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)