銀行で購入する投資信託は、個人投資家にはなじみがあります。
しかし取扱ファンドが多く、何を選んでよいか、すすめられても分からないこともあります。
悩む理由の1つは、1つのファンドを持ち続けても有利な期間がずっとは続かないことです。
しかも乗り換えれば購入手数料が別途必要となり、投資効果が低下します。
そんな悩みを解消してくれる、投資初心者には心強い投資信託がセレクションファンドです。
このセレクションファンドの活用手法を、コア・サテライト戦略と呼ばれる運用資金の色分け手法と合わせてご紹介します。

目次
セレクションファンドの特徴
セレクションファンドとは、株や債券、国内や海外などを投資対象とした1つずつのファンドが複数組み込まれ、自身で「セレクト」できる投資信託を指します。
購入時の手数料はかかるものの、
・ 債券ファンドからREITファンド
へと、その時に値上がりを期待できる投資対象へ変更が可能なファンドです。
では、具体的に商品をご紹介していきましょう。
セレクションファンドの商品
1. ジャナスセレクションファンド「SMBC信託銀行プレスティア」
特徴とメリット
米国への投資ですが、6種類のファンドが行き来できるセレクションファンドです。
なぜ米国なのかと言えば、長年のトラックレコードがあり、米国の企業を通じて世界中の景気循環を受け取れるからです。
この6種類には
・ 株式でも大型株と小型株
・ 両方を採り入れたバランスファンド
・ 米国中心の不動産ファンド
と景気循環に合わせてどれか1つは必ず値上がりが期待できるファンドがそろっているのです。
しかも、円ヘッジ付の円建てと米ドル建ての2種類の投資ができるため、円高時には米ドル建てで運用し、円安水準になれば円ヘッジ付へスイッチングすると為替差益も実現できる仕組みです。
スイッチングする場合も手数料はかかりません。
デメリット
・ 海外の祝日があると売買自体ができない場合がある。
・ 非上場投資信託なので指値等のリアルタイム取引はできず、換金に1週間以上かかる場合がある。
なお、投資リスク等については、こちらを参考にしてください。

日本株セレクションファンド「三菱UFJ銀行、SBI証券他」
特徴とメリット
投資対象が日本株で、タイプの異なる4つの株式ファンドに投資できるセレクションファンドです。
・ 好配当優良株
・ 成長株
・ 割安株
の4つで、景気上昇期待のある時期は中小型株や成長株を景気減速局面では好配当優良株や割安株を選択(セレクト)できます。
マネープールと呼ばれる、株式投資をせず待機しておく公社債ファンドもあり、株式投資に向いていない局面では預けておくことも可能です。
なお国内株式ファンドなので為替変動はありません。
換金は5営業日です。
デメリット
デメリットという程でもありませんが、以下の通りです。
・ 購入時の手数料に加え、4ファンドをスイッチングする場合は1%(税抜)の手数料がかかる。
なお、リスク等については、こちらを参考にしてください。

コア・サテライト戦略と呼ばれる運用資金の色分け手法
お金を色分け → すぐに使わない資金を運用にまわす
皆さんは、お金に色分けをしていますか。
当面の生活費と将来に必要な生活費、子育てや老後資金など、収入と支出のバランスを考えてお金に色を付けてみましょう。
その上で、すぐに使わない資金が手元にあれば運用に回して、財産強化を試みるのも1つですね。
投資初心者の方は安定運用であまりリスクをとらない資金を約7割、期間もとりながらリターンを狙う資金を約3割の配分で運用してはいかがですか。
安定運用と流動性を確保するコア運用
銀行預金は低金利ですが、流動性を確保しつつ利息や預金していることによるATM手数料無料などの特典サービスを考えるとコア(中心)運用の1つと言えます。
ただ、銀行預金より高い利回りを確保したいと思うなら、国内債券または外国債券への投資となります。
コア運用のポイントは、株式や先物等のリスク(リターン)が高い投資商品を採用するのではなく、時間を味方につけて絶対に負けない運用をすることです。
外国債券に投資する場合も為替ヘッジ付にするなど、リスクもリターンも自ら抑えたコア運用がおすすめです。
長期運用でリターンを狙うサテライト運用
長期運用できる資金があるなら、資金全体の約3割はリスクを取りながらリターンを期待して株式等への投資を試みましょう。
景気が良い局面では債券こそ値下がりすることもあり、1つの投資対象がいつでも値上がりする訳でもありません。
為替リスクがあっても10年程度運用期間がとれるのなら、外国株式への投資(または投資信託)も選択肢の1つです。
株式投資は怖いと思っておられる方は運用資金全体の数%からサテライト(衛星)運用を始めてみましょう。
コア(中心)の周りをサテライト(衛星)が周っているイメージです。
前述したセレクションファンドは、このサテライト運用にあたります。

セレクションファンドは個人投資家が得をする商品
ちなみにセレクションファンドは、あまり多くは販売されていません。
手数料が入らず取扱い金融機関が儲からないのと、景気循環によってファンドを選べる販売担当者が少ないからです。
つまり、購入する個人投資家が得をする商品だと捉えることもできます。
これから投資信託で運用を始めようと考えておられる方は、セレックションファンドから始めてみるのも1つですね。(執筆者:中野 徹)