先日、お母さまお一人で子供さんを育てていらした方の悲しいお話を伺いました。
そのお母さまが不慮の事故でなくなり、保険金の受取人は子供さんでした。
しかし子供さんでは多額の保険金を管理することはできず、叔父様が子供さんを赤ちゃんポストに入れ、お金を持ち去ったという…実に残念な事象でした。
子供さんの将来のためにきちんと積立て契約していた生命保険も、こんなことになってしまっては切なすぎますね。
今回は、「管理できない受取人への保険金を守るためにできること」を考えてみたいと思います。

目次
親御さんの万が一の時には保険金が高く設定されているケースが多い
生命保険は、残された遺族が生活できるように子供さんが小さければ小さいほど、親御さんの万が一の時に保険金が高く設定されているケースが多いです。
生命保険会社やその代理店もそのように設計をしてご加入を推奨しています。
両親がそろっていて、(例えば旦那さんと奥さま)子供さんがいらした場合、旦那さんに万が一のことがあれば、法定相続人である、奥さまと子供さんに保険金がおります。
管理能力のある奥さまはこれからの生活を、子供さんとともに旦那さんがかけてくださっていた生命保険金を使いながらこれからの生活を立て直すことができるでしょう。
ところが、親御さんお一人とお子様の場合、上記のように普通に生命保険金が活かされることがないケースが多々あります。
また、親御さんが、再婚していたケースで残された親御さんと子供さんに血のつながりがないケースも、いろいろな問題をはらんでいる事例も多く出てきています。
子供さんが未成年の場合に気をつけたいこと
子供さんにきちんと保険金を残したい場合、子供さんが成人していれば問題なく受け取りができます。
子供さんが未成年の場合は、法律で定められた「未成年後見」という制度を使わなくてはなりません。
未成年後見は、未成年である子供さんの代わりに手続きをしたり、お金の管理をする人のことで、誰でもなれるわけではなく、一般的には子供さんの親権者がなるのが通例です。
上述のように親がいなくなってしまった場合、祖父母、おじ・おば等未成年の親族がその後の未成年の面倒を見ることが一般的とされます。
しかしこの方々は未成年者の法定代理人ではないので、代わりに契約の手続きをすることができません。
そのために、未成年後見人を選ぶ必要があるのですね。
未成年後見人の手続きはこちら
お金の管理ができる人を保険金の受取人にしておくことがとても重要

しかしながら、この制度があるから、安心というわけではなく、生前に、きちんとお金の管理ができる人を保険金の受取人にしておくことがとても重要です。
まだ親御さんが若いケースであれば、ご両親も老齢でないことから、ご両親(お子様から見た祖父母)に決めるのも安心です。
また子供さんに対して日常接することもあった親御さんのご兄弟で、子供さんを面倒見たい愛情のある方、お金などにお困りではない方にする方法もあります。
ご自身がお若いうちは、ご両親に、そしてご両親も少しお年を召された段階で、保険金受取人を考えて手続きをすることも筆者としては推薦しています。
自分の意図にそわなければ意味がない
先日、筆者の知人で、保険金の受取人をお母さまにしようと考えていた人がいました。
しかし、親御さんに、面倒な生命保険金の手続きをさせることが可哀そうだと思った知人は、ともにお母さまに育てていただき同居をしていた妹さんを保険金受取人にすることに決めました。
妹さんは法定相続人ではないため、お母さまに保険金をお渡しするには、税金が20%加算されます。
それでも保険金を20%程度上乗せしても、保険料に差があまりなかったことから、全てスッキリ納得の上で契約ができました。
万が一は、万が一ですが、せっかく心を込めて家族のために選んだ保険が、自分の意図に反して活かされなければ意味がありません。
自分の万が一、だれに託すのが一番の得策か…。
「保険金受取人」は、契約時にたった一行のマスに書くだけですが、この選択肢を間違うと、後悔してもしきれない事実があることを今回はお知らせしました。
皆さんの参考になれば幸いです。(執筆者:鮫島 ひかる)