先日、3月期決算企業(金融機関除く)の決算発表が出揃い、純利益が3期ぶりの減益で着地したと報じられました。
また2020年3月期に向けては、製造業で6%減と減益が続く予想であり景気停滞感がしばらく続く見通しとなりました。
2019年も5か月が過ぎましたが、この停滞相場にあっても業種別に株価を分析すると、後半戦に向けて仕込んでおくべき企業群が見えてきました。
夏のサマーラリー(株価上昇局面)を控え、要チェックな業種をご紹介していきます。

目次
今年に入ってからのトレンド
昨年末から上昇トレンドが描けなくなった日本株式相場、日経平均は6か月前から見ると9%超の下落トレンドです。
昨年12月、1月、2月、そしてGW明けの5月にも、日経平均が数日で1,000円を超す急下落の局面がありました。
それら下落トレンドに対する要因分析と、それでも上昇している業種を見てみると、年後半に向けての戦略が分かってきます。
直近6か月の業種別株価推移
こちらの表をご覧ください。
2018.11.30比2019.5.31現在の6か月業種別株価推移を現わしています。
※「株マップ.com」を参考にした36業種別

見ていただいた通り、TOPIXに勝っている業種はわずか12業種。
6か月前比でプラスになっているのは、さらに少なく4業種となっています。

下落トレンドの要因分析
株価を左右する要因は数多くあり、複雑に絡み合っていますが、心理的な方向感をも左右する代表的な要因は次の2つです。
(2) 米国に端を発した長期金利の低下局面
(1)は5月にも決着するのでは、と言われていた米中の貿易交渉が決裂したことが原因です。
現在進行形で高関税が課される事態となり、さらなる摩擦が心配されています。
これら貿易摩擦は、日本にとって輸出の柱である自動車や工場機械設備、携帯電話等の精密機械などに多大な負の影響を及ぼします。
実際ここ6か月の業種別株価推移でも、自動車や海運・造船のみならず石油・石炭業種まで幅広く下落しているのが分かります。
(2)は昨年から利上げを続けてきた米国FRBが、利上げ停止を宣言したことに加え欧州ECBも金融緩和策を長期間続ける見通しとなったことが原因です。
米国では、長短金利が逆転するという景気悪化時に見られるトレンドも見えてきました。
そこで一番負の影響を受ける業種が、6か月前比でも下位に留まる銀行・保険・証券の金融3業態です。
金利差が生まれないため、銀行は本業の利ザヤで稼ぐことができず、日本では野村證券が前期赤字決算となりました。
トレンドの継続性と2019年後半の景気見通し
では上記(1)、(2)について、年後半の見通しを考えてみましょう。
(1)については何かしらの決着が着くものと見られていますが、数年または十数年に渡ってぶり返す話題であることがはっきりしてきました。
しかも5/31に突然発表された米国大統領令では、メキシコからの輸入品にも同じような関税を課すことが6/10から開始され、税率も段階的に引き上がるとのこと。
これも何かしらの決着が見られるでしょうが、次は欧州その次は日本への貿易摩擦が発生する可能性が高いのです。
要は米中貿易摩擦問題を始め、世界中で貿易摩擦が発生することが数年単位で懸念されています。簡単には終わらないのです。
特に海外とつながっている製造業は、6か月前比で頑張っていた精密機器業種にも現実的な負の影響が及んで来るでしょう。
また(2)については米国金利の利上げ停止に留まらず、来年2020年には利下げ確率まで先物市場では予想されています。
日本はマイナス金利でオリンピック明けまでは最低変わらないものの、他国の中央銀行が利下げモードに入ると、一番影響されるのが円高トレンドです。
米国利上げモードだった昨年でも10月につけた対米ドル114円が円安のピークであり、今後の金利差縮小と景気減速を加味すると、円高トレンドに切り替わることも十分考えられます。
これも日本株式相場には負の影響であり、海外輸出企業は(1)と(2)のダブルパンチもあり得る状況です。

2019年の後半戦戦略
では6月以降の株式運用には、どういった視点で戦えば良いのでしょうか?
ハイリスク・ハイリターンを狙う投資家の方は、いま一番下がっている業種や銘柄を選んで短期に売買することが期待リターンへの近道になるでしょう。
しかしここでは負けない投資を指向し、デイトレーダー並みの手間はかけられない投資家の方へのアドバイスを想定しています。
業種を絞り、その中から上昇期待が持てる企業を絞り込んでみたいと思います。
上昇期待の業種
先ずは今年後半も、景気低迷は続くがリーマンショックのような大きな下落はないとの見方に立っていることを確認しておきます。
さらに加えると、来年2020年には今の低迷から株価上昇局面に戻るとの見方に沿った戦略であることも確認しておきます。
では次の項目で絞り込みをしていきます。
業種絞り込み
(1) 製造業を外す
2020年3月期見通しでも減益予想、国内外ともに貿易摩擦に影響される業種
(2) 非製造業でも6か月前比でTOPIXに勝っている業種
これまでのトレンドが継続する見通しに立つ
→ 「商社」・「サービス」の2業種に絞る
企業絞り込み
サービス業種だけでも300社ある中で、直前の株価位置を見ないと結論は出せないのですが、投資環境が良好と思われる企業をピックアップしました。
トレンドフォロワー的な投資アイデアとして、参考にしてください。
迷ったら、業種別上場ETFを選びましょう。
【1629】商社・卸売、【1626】情報通信・サービス
2業種の中から個別銘柄をご紹介します。
【7466】SPK(商社)
自動車補修部品や産業車両部品を取扱う商社。
創業100年を超え、実質無借金経営。
小型株ながら、東証一部で20年連続増配している。
【9735】セコム(サービス)
警備業最大手。東京オリンピックに向け、海外からも注目が集まる。
6か月前比ほぼ変わらずの位置に付け、長期の上昇トレンドは維持。
投資のタイミングは、必ずやってくる
6月のG20では、最大の懸案である米中貿易摩擦にも決着が着くかも知れず、そこから日本株式相場も回復基調に入ることが予想されます。
低迷期でも負けない投資を目指し、今のうちから優良銘柄を見つけておきましょう。
投資のタイミングは、必ずやってきます。
なおここでは「株マップ.com」を使ってみました。
無料会員の範囲で、かなり使い勝手が良く絞り込みがしやすかったです。(執筆者:中野 徹)