不動産投資を始めようと、物件の購入を検討した時に気になるのは「この物件は相場よりも高いのか? 安いのか?」ということではないでしょうか。
そんな時に不動産価格の評価方法の1つの「収益還元法」を理解することによって、収益力をもとにして物件の価格が適切かどうか自身で算出ができるようになります。
今回は収益還元法の2つの計算方法を簡単にご紹介していきたいと思います。
目次
収益還元法の計算方法は2種類

1. 直接還元法
不動産から生じる1年間の純収益を投資利回りで割り戻して不動産を評価する方法のことを言います。
計算方法は以下のとおりです。
計算するにあたり、まずは想定される家賃収入などから一般的な管理費などの費用を差し引きます。
計算された純収益を還元利回り(キャップレートとも言います)で割って求めますが、直接還元法では、還元利回りを何%で設定して計算するかによって、不動産価格に差が出てしまいます。
よって、設定する還元利回りが相場からずれないように、事前に調査をすることが大切です。
2. DCF法
DCF法とは「Discount Cash Flow」の略で、将来的な収益力に着目し、「現在の資産価値と数年後の資産価値は実質的には異なっている」という考え方のもとで不動産評価を行う計算方法です。
なぜ価値が違うのか、と疑問に思うかもしれません。
例えば今100万円を受け取るのと、1年後に100万円を受け取るのを比較してみましょう。
今100万円を受け取れば、1年後に銀行に預けて利息を受け取ったり、株に投資して配当金などを受け取れます。
しかし、1年後に100万円を受け取っても収益を得られないという考え方から、将来より現在の100万円の方が価値は高いと考えます。

計算方法は以下のとおりです。
それでは、この計算式に当てはめながら具体例を見ていきましょう。
1年間の純収益が100万円、5年後の売却額が1,000万円、割引率が3%と仮定して計算します。(以下小数点3桁以下四捨五入)
1年目の収益を3%で割り引いた場合… 100万円 ÷(1+0.03)= 97.09万円
2年目の収益を現在価値に割り引いた場合… 100万円÷(1+0.03)2乗 = 94.26万円
3年目… 91.51万円
4年目… 88.85万円
5年目… 86.26万円
さらに五年後の1,000万円を現在価値に割り引くと862.61万円となりますので、計算したすべての現在価値を合計すると
97.09+94.26+91.51+88.85+86.26+862.61=1320.58万円
がDCF法にて計算した不動産価格ということが分かります。
精密な相場価格の算定が可能ですが、「割引率」と「売却額」の仮定が客観的に見て妥当かどうかの判断が重要です。
収益還元法を理解して、不動産投資の成功につなげよう
DCF法は計算するのに時間がかかるため、まずは最低限簡単な直接還元法だけでもしっかりと覚えましょう。
今回の収益還元法を理解することで、物件価格が高いのか、安いのかといった評価だけでなく、金融機関から融資を受ける際の金額の目安も把握できます。
ぜひ、さまざまな物件で計算の練習をしてみてください。(執筆者:菊池 悠介)