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米グーグルが「スタディア」投入へ
6月11~13日、米国で毎年恒例のゲーム見本市「E3」が開かれた。
毎年ゲーム業界の最新の情報が公開されるということで、新たなニュースに関して注目していた投資家は多いだろう。
しかし、今年はE3を前に負けるとも劣らない大ニュースが出ていた。
それは、米国の巨人、グーグルがゲームサービス「STADIA(スタディア)」を11月にスタートするというものだ。
月定額で遊び放題で、米国での料金は月9.99USドル(約1,100円)になるという。

タイトルには日本企業の作品も
公表されたタイトルの中には、バンダイナムコの「ドラゴンボール ゼノバース2」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー15」などがある。
バンダイナムコはスタディア参入の目的として、
としている。
通信会社、グーグル、ユーザーの三方よし
スタディアの国内サービスのスタート時期は6月上旬現在で未定であるが、5Gが開始される2020年春と合わせる可能性が現状で最も高いと考えられる。
携帯通信会社目線では5Gが普及するきっかけとして、グーグル目線ではサービスの利用拡大につながることから、両方にとって大きなメリットになるだろう。
そしてユーザー目線では、スタディアについて仮にもし月1,000~2,000円ほどで数多くのゲームが遊び放題、それでいてパソコン、スマホなどハード面で限定されることがないとすれば、かなり魅力的に感じるだろう。
将来、日本国内でサービスローンチとなれば、ゲームの利用者層は5Gの比較的高いプランに加入してでもスタディアをプレーしたいと思うとみられる。
国内ゲーム会社の株価動向に注目

このように、日本国内でも企業はもちろん一般ユーザーにも影響を与えるであろう、グーグルのスタディア。
こうした状況の中でも投資家の大きな関心事は、今後スタディア専用のタイトルをゲーム会社各社がどの程度投入してくるかだと考える。
まず、基本的にゲーム関連銘柄のバリュエーションは高い。
商品の当たり外れによって収益が不安定となるため、理論的にはバリュエーションはディスカウントされるものの、世間での知名度の高さからくる旺盛な需要や、昨今のeスポーツブームなどが後押しし、高めのバリュエーションになっていると思われる。
定額課金からくる安定的な収入は、上記の「収入の不安定さ」の解消につながるものである。
つまり、スタディア向けタイトルを開発し、軌道に乗せることができれば、収入の拡大はもちろんリスク軽減によるバリュエーションのさらなる上昇も期待できる。
大資本を持つ米グーグルがスタートダッシュに合わせて、好条件でスタディア専用タイトルをゲーム会社各社に依頼する可能性はそれなりに高い。
スタディアの開始に併せ、国内のどのゲーム会社がどれほどのアクセルでサービスを押し出ていくかは、投資のうえで重要なヒントになる。
バンダイナムコやスクウェア・エニックスはもちろん、カプコンやコナミなど、国内だけでなく海外でも人気のゲームを世に出してきた会社の動向は要注目だ。(執筆者:高橋 清志)