住宅ローン借り入れ後、とにかく早く完済したいと、繰り上げ返済を熱心に行う方がいらっしゃいます。
それはそれで、望ましいことではありますが、そういう方はいざという時のお金まで繰り上げ返済してしまいます。
そんな方が、家計の負担に直面した場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
今回は、それを解決する2つの方法をご紹介します。
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目次
新生銀行の「コントロール返済」を利用する
新生銀行では安心パック※の中に、コントロール返済というサービスを導入しています。
これは、期間短縮型の繰り上げ返済を行っていた場合、その短縮期間だけ、利息の支払いのみで良いというサービスです。
例えば、35年返済で5年間の期間短縮型の繰り上げ返済を行っていた場合、最大5年間は利息の支払いのみで良くなります。
これを利用すれば、家計の負担に直面した場合、利息の支払いのみを選択することで、資金不足を賄えます。
※安心パックはスタンダードプランがコントロール返済と安心保障付団信、安心パックWが左記の他に病児保育サービスと家事代行・ハウスクリーニング、安心パックSが安心パックに自然災害時債務免除特約を付けたものです。
また、安心パックは契約時に10万8,000円(税込)、安心パックWと安心パックSも契約時に16万2,000円(税込)が、事務取扱手数料として必要です。
当初の返済期間で借り換える

期間短縮型の繰り上げ返済は、いわゆる利息の中抜き効果により、利息軽減効果は大きいのですが、家計の負担に直面しても返済期間を延ばして、返済額を軽減することはできません。
これは、借り換えにおいても当てはまることなのですが、フラット35と住信SBIネット銀行は、借り入れ可能期間が「35年-経過期間」で計算してくれるため、借り入れ期間を延長して、返済額を軽減することが可能です。
例えば、当初の住宅ローンを35年返済で借り入れ、5年経過後に10年分の期間短縮型の繰り上げ返済を行っていたとします。
この場合、現在の返済期間は25年ですので、借り換え先の新しい住宅ローンも25年返済が上限になるのですが、上記の2行は「35-5」=30年で計算してくれるため、30年返済が可能になります。
最近は、借り換えに伴う諸費用も上乗せできるため、返済期間が延長されることで、毎月の返済額を軽減できます。
ただし、返済期間が延びているので、総返済額は増加します。
計画的な繰り上げ返済を意識する
新生銀行のコントロール返済が、全ての安心パックに導入されていることを考えると、期間短縮型の繰り上げ返済をしたものの、家計の負担に直面する方が多いのでしょう。
ただし、コントロール返済を利用している間は元金は減らないため、今までの期間短縮型の繰り上げ返済の効果が半減してしまうのも事実です。
家計の負担に直面しても、耐えられるだけの流動性資金を確保した上で、計画的な繰り上げ返済を行っていただきたいと思います。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)