最近は車の購入方法も多様化しています。
車の購入代金を全額ローンで支払う、通常のオートローン以外に、3年後の車の価値をあらかじめディーラーがある程度保証し、買取価格を引いた金額だけ支払う、残価設定ローンなども普及しています。
しかし、車を購入した場合、自動車税や自動車保険代、ガソリン代や駐車場代などさまざまな費用がかかる所に、オートローンの返済も上乗せされます。
今回は、住宅ローンを返済している家庭が、オートローンの返済でどの程度、家計が圧迫されているのかを、
の観点から解説します。
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目次
残価設定ローンが急速に普及
今回、特にこの事例を取り上げたのは、最近は輸入車にまで広がった残価設定ローンにより、オートローンを容易に組んでしまう人が増えたためです。
3年後の買取価格をある程度保証してくれ、支払いは買取価格を引いた金額だけで済むため、残価設定ローンを利用すれば、ワンランク上の車種を購入することも可能です。
しかし、3年後にディーラーの買取価格を現金で清算できる人はまれで、ほとんどの人は再度残価設定ローンを利用して、新しい車を購入します。
これにより、ディーラーにとっては車を買い替えてくれる人が増え儲かりますが、残価設定ローンを利用した人は、オートローンと一生付き合う羽目になりかねません。
また、3年後の買取価格を保証しているといっても、走行距離や傷などさまざかな条件があるため、その分を支払うことになることも多いようです。
この金額が少額であれば、さほど問題ではありませんが、中には相当の金額になる場合もあり、その場合、家計から補填しなければなりません。
総返済負担率で比較すると、オートローンが重荷に
住宅ローンの審査では、総返済負担率の数字が大きな比重を占めます。
ではここに、オートローンの返済が加わるとどうなるでしょうか。
例えば、年収600万円の人が、住宅ローンを全期間固定金利のフラット35で3,000万円借り入れ、金利は1.5%、35年で返済するとします。
その場合の毎月返済額は9.2万円ですので、上記の総返済負担率の式に当てはめると、
となり、安全圏と言われる20%を下回ります。
ここに、300万円の車を残価設定ローンで残価率50%、つまり150万円を3年返済するとします。
金利を3%とすると、毎月返済額は4.3万円となります。
ここで上記の総返済負担率の式に上乗せすると、
となり、総返済負担率の数字は一気に跳ね上がります。
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この事例では、もともとの住宅ローンの負担があまり重くないため、残価設定ローンの数字を加えても30%を下回っていますが、ほとんどの人はここが30%を上回ります。
ただ、車を購入した場合、さまざまな費用がかかるため、上記の事例でも、実際の数字は30%近くになっていると考えられます。
住宅ローン返済中はトータル的な判断で
一般的に、総返済負担率が30%を超えると、いざという時の資金が確保できなくなり、危険水域と言われています。
そう考えると、残価設定ローンの利用も、3年後に清算できるだけの資金を確保しておくなど、まずは住宅ローンの返済を最優先した対応が必要です。
最近普及している、カーシェアリングの利用など、新たなサービスも有力な選択肢になるでしょう。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)