年間通じて何かと凶悪事件をニュースで目にします。
例えば怨恨ではなく、誰でも良かった、誰かを殺して刑務所に入ろうと思ったなどの理由を聞くと狂気の沙汰ではないと思う反面、いつどこで自分や自分の家族が事件に巻き込まれるか心配にもなります。
また、犯罪被害者の遺族が加害者から正当な賠償金を得られないのも問題化しています。
自動車による交通事故だけは政府の保障事業によって死亡事故で3,000万円まで補償されますが、これでも十分とは言えず、またきっちり過失相殺(過失があれば減額)されますし、給付までに1年以上かかるとも言われます。
やはり自助努力、自分達で備えておく必要があるかと思います。

目次
十分な補償とは?
考え方の1つになりますが、損害賠償の際の賠償額を十分な賠償額と見る事ができます。
加害者は治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益を支払う義務を負います。
交通事故の過失による死亡事故も凶悪犯罪の加害者もこれらは同様です。
着目すべきは逸失利益と言うもので、これは簡単に言えば生涯賃金のようなものです。
「不自由なく生存しており五体満足であったならこの先どれだけ稼げたか」それが逸失利益です。
残りの人生で稼げたはずの賃金です。
十分な補償とは最低限ここ(得られたはずの利益)まで考えたものではないでしょうか。
実額に関してはざっくり言うと子供から働き盛りの人の被害だと5,000万円~1億円です。
年齢、性別、年収などさまざまな要因で変動します。
犯罪被害に何で備えよう?
犯罪に巻き込まれて死去した場合の保障でイメージしやすいのは生命保険でしょうか。
ただ生命保険の役割は残された遺族の生活保障と言う側面が強いので例えば15歳未満は1,000万までの保障しか付けられないですし、1億円保障の掛け金は支払う保険料も高額になります。
そこで、犯罪被害に特化した割安な被害事故補償特約と言う選択があります。
傷害保険の特約に被害事故補償特約を付けられる損害保険会社があります。
通販系にはない特約なので代理店経由になるかと思います。
具体的に内容を見ていきたいと思います。
まずは支払の対象になるのは犯罪被害とひき逃げによる死亡及び重度後遺障害となります。
次に補償額と保険料を見てみましょう。
※主契約として後遺障害50万円含む
【本人型】被害事故補償 7,000万円 年払1,860円(月払170円)
※主契約として後遺障害50万円含む
【家族型】被害事故補償 7,000万円 年払6,980円(月払630円)
※主契約として後遺障害50万円含む
上記の保険会社の場合、現在は家族型で7,000万円までとなりますが、本人型だと1億円まで加入できます。
家計に大きな負担にはならない水準です。
なんでこんなに安いのか

生命保険や傷害保険は定額払と言いまして、万一犯罪被害で死亡したら相手からの賠償金の有無に関わらず契約した保障額が受け取れます。
一方、被害事故補償は定額払ではありません。
損害賠償の賠償金の計算をまず行い、自賠責や加害者からの賠償金、政府からの犯罪被害給付を差し引いた残りを保険会社が支払います。
1億補償を付けても計算してみたら7,000万円だったので受取額は7,000万円になりますという事もあり得ます。
また、ひき逃げ犯が後日出頭し、自動車保険にしっかり加入していた場合は被害事故補償の出番はありません。
被害事故補償の補償額の設定は5,000万円~8,000万円位で十分かもしれません。
安さの理由は発生確率と別口で得られた賠償金、補償金を差し引く実損填補型のためです。
この記事では打ち間違いではなく保障(定額払)と補償(実損填補)を明確に使い分けております。
被害事故補償とは足りていない部分を補うためのものです。(執筆者:原山 栄治)