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FP夢ゴロウへの相談
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夢ゴロウ:FP60才
ヒーちゃん:同級生60才(1年前にご主人は他界)
甥:25歳 妹(死亡)の子 東京へ就職
ある日、FPの資格を持つ夢ゴロウ(60才)のところへ、同級生のヒーちゃんから老後と、亡き妹の子(甥25才)について相談された。
ヒーちゃん「最近よくテレビで老後は2,000万円不足するとか言っているでしょ。昨年、主人が亡くなって住宅ローンの半分程度が残りましたの。」
夢ゴロウ「ご主人の持ち分は保険でローンが消えた件ですね。」
ヒーちゃん「年金が私は多くないのよ。」
夢ゴロウ「遺族年金貰えるじゃないですか。」
ヒーちゃん「老後に2,000万なんか無理よ。それに今まで主人や両親の介護もあったから、貯えも減っているし。私子供無いから、早くして亡くなった妹の子供(甥)が頼りなの。」
夢ゴロウ「甥に大学を卒業させたことで妹さんも喜んでくださっていると思いますよ。」
ヒーちゃん「ところがね、東京に就職が決まったのよ。」
甥の生活費
甥自身は奨学金の返済が今後20年最大続き、社宅に入れたとしても家賃や公共料金(2019年10月より奨学金返済中はNHK受信料が免除となる見込み)など生活費はかかります。
大卒初任給20万円が平均相場(手取り16万円程度)で奨学金の返済2万円、社宅で住居費は抑えられる、貯蓄は頑張れば2万円程度は財形などで可能です。
ボーナスなどで奨学金やカードローンなどの任意や繰り上げ返済は可能で、年数を追うごとに昇給やボーナスアップも見込まれます。
しかし交際費などのウエイトが多くなれば厳しくなります。
叔母への援助は難しいが、恩義はある
結婚資金などの準備も必要で叔母さんへの援助は難しいが、育ててくれた恩義はあるので年に1度は帰郷すると考えられます。
奈良~東京の遠距離もあり、交通費を浮かすには車は必須だが、車やバイクのローンを組めばさらに厳しくなります。
結婚して東京に永住も十分ある甥を頼りにするのは難しいです。
一般的な家族構成と健康生活
夫婦2人で生活
↓
どちらか1人になる
↓
健康寿命~終身を迎える
年金は、人によって組合せが変わります。
厚生年金
企業年金
その他の自助年金
老後生活もみんな違います。
・ 家族事情(同居・別所帯・施設)
・ 面倒を見て貰える・貰えない
・ 面倒を見る側
老後資金も大きく分けると3択が浮かびます。
・ 豊かな老後を送れる資金
・ 普通に生活できる資金
・ 生きていけるギリギリの資金
年金事情もさまざま
不足資金も個別の事情で変わり、年金があるか、ないかは大きく差ができます。
年金を頼りにして、今の生活を落とせないと、不足分の調達が重くなります。
・ 住宅ローンの支払いが40代で住宅取得(35年ローン)の返済が75歳~78歳ぐらいまで続く場合
・ ボーナス併用部分を退職金などで繰り上げ返済ができていない場合
年金がない場合に考えられるのは、
・ 年金以外のお金事情(生活資金援助あり・なし)
・ 自宅(分譲・賃貸)
・ 預貯金(あり・なし)
健康であれば働いて生活が可能でなくなる前に「生活保護」の受給の検討もしなくてはなりません。
対策
・ 住宅ローンの負担があと〇年、売却して民間賃貸か公的な団地入居も検討する
・ 保険料の支払いが終身続くので見直して余分な保障をカットする
・ 生活基準を落としてでも頑張る(通信費・光熱費の節約、薬はジェネリック、安い食材など)
相談者ヒーちゃんの場合
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夢ゴロウ「ヒーちゃんは住宅ローンはどうなってるの?」
ヒーちゃん「私は、ボーナス部分は繰り上げ完済してますわ!」
夢ゴロウ「住宅ローンの返済額は確か月々5万円ほどだったよね。今はバイトして働いているのだから頑張れるけど65歳以降もバイトかな…」
生活資金
老齢年金+遺族厚生年金=14万円/月
住宅ローン5万円と普通の暮らし生活費10万円見込み
この時点の不足額月1万円を種々見直しで0とする事も可能だが、
1万円 × 12か月 × 40年(100歳まで)=480万円の資産作りを検討する
2万円 × 12か月 × 10年(70歳まで)=240万円
今後の対策
・ 毎月の運用額も増やせる月は増やす事も検討する
・ 節約も必要なので生活費用を見直す事も検討する
・ 保険の見直しでは最低万一の入院費用は確保する
・ できれば最低の葬儀費用(家族葬)も(保険や貯蓄で)確保する
・ 運用が上手く行けば300万円~も可能となる
・ 75歳で施設に入居する場合は住宅を売却して入居資金に使用する
中には80歳でもバイトしているケースもあるが、この場合は生活費が不足して生活資金が必要なケースもあり貯蓄に回せません。
金さんや銀さんみたいに100歳になっても老後に貯えられる方もいます。
ヒーちゃんの運用方法
ヒーちゃん「貯蓄は積立でやっているわ」
夢ゴロウ「今のヒーちゃんの資産運用は貯蓄か? お互い60歳なので70歳ぐらいまで10年間は運用が可能だ!」
運用期間が10年あれば長期運用が可能、NISA積立など方法はあります。
ヒーちゃん「本当はできるだけ甥の援助は受けないし、あてにもしないわ。」
夢ゴロウ「年金だけの生活になる前に資産運用は必要だね。」
かわいい甥に苦労はさせたくないヒーちゃんは、しっかりとライフプランを立て、生活資金の見直しをしようと心に誓い、家路につきました。(執筆者:木村 正人)