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クレカ支払い滞納でカード会社が起こす裁判 対処法や救済策を元弁護士がやさしく詳しく解説

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クレカ支払い滞納でカード会社が起こす裁判 対処法や救済策を元弁護士がやさしく詳しく解説

クレジットカードの支払いを滞納すると、

カードの利用停止

カードの強制解約

電話や文書による催促

裁判

と進み、最終的には差押えを受けることになってしまいます。

裁判を起こされると、普通の人ならパニック状態になってしまうことでしょう。

でも、焦りは禁物です。

対応を間違えると取り返しのつかないことになってしまいます。

この記事では、クレジットカードの滞納で裁判を起こされても、まだ間に合う救済策をご紹介します。

くれぐれも焦らず、落ち着いてご覧ください。

クレカ滞納でカード会社が起こす裁判への対処法や救済策

裁判は突然やってくる

クレジットカードの支払いを滞納してから裁判・差押えに至るまでの流れはどのカード会社でも同じですが、それまでの期間や態様はカード会社によってまちまちです。

「滞納した翌日にはカード利用停止となり、3か月支払いがなければ裁判を起こしてくるカード会社」

もあれば、

「滞納しても1~2か月はカードの利用ができて、その後もあまり厳しい催促はなく、3~4年たっても裁判してこないカード会社」

もあります。

しかし、滞納を続けていれば、必ず裁判・差押えの手続に進んでいきます

注意が必要なのは、電話や文書で頻繁に催促してくるカード会社はなかなか裁判をしてこないのに、あまり連絡してこないカード会社がある日突然、裁判を起こすことも多いということです。

とにかく、予想外のカード会社から、予期せぬ時期に裁判を起こされるケースが多いのです。

滞納しているのであれば、いつ裁判を起こされても文句は言えない立場ではあるのですが、これでは驚いてしまうのも無理はありません。

普通の人であれば、裁判所から特別送達で裁判書面が届いただけでパニック状態になり、目の前が真っ暗になってしまうことでしょう。

しかし、落ち着いて対処法を考えれば、まだできることはあります。

まずは、送られてきた書面に何が書いてあるのかを正確に読み取りましょう

裁判は突然やってくる

裁判には2種類ある。急がなければならないケースとは

裁判手続にはさまざまな種類がありますが、クレジットカードの支払いを請求するためにカード会社が起こしてくる裁判は、主に

「支払督促」

「訴訟」

の2種類です。

1. 支払督促

簡易裁判所から「支払督促」という書面が届いた場合は、急がなければなりません。

支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立書を提出しなければ、支払督促に書かれているとおりの請求内容が確定判決と同じ効力を持ってしまいます。

確定判決と同じ効力というのは、差押えなどの強制執行ができるということです。

もう、いつ差押えをされてもおかしくないという状態になってしまうのです。

こうした事態を避けるためには、2週間以内に異議申立書を提出します。

そうすると、支払督促の手続は次に説明する訴訟の手続に移行します。

訴訟で反論する材料が何もなくても、訴訟手続に移行すれば時間の余裕ができるので、適切な対処法を検討できます。

2. 訴訟

訴訟の場合は、債権者が裁判所に提出した「訴状」が裁判所から届きます。

「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という書類が同封されていて、指定された裁判期日が書いてあります

第1回目の裁判期日は通常1~2か月後に指定されるので、支払督促に比べると時間に余裕があります

訴状を受け取って驚いたとしても、その間に対処法を検討しましょう。

訴訟への建設的な対処法

訴状

それでは、訴訟に対してどのように対処すればよいのかを解説します。

ほとんどの場合、反論できることは何もないと思いますが、それでも生活を維持するためにできることや考えるべきことはいくつかあります

1. 和解を目指す

訴状が送られてきた封筒の中に、答弁書の用紙が同封されています。

和解を希望する場合は答弁書の中に記入欄があるので、そこに希望する和解案を記入して提出しましょう。

ただし、必ずしも自分の希望が通るわけではなく、債権者との話し合いによって支払月額や支払回数などを決めていくことになります。

こちらの希望に近い案では和解に応じてくれない債権者もいるので、その場合は次に説明する債務整理を検討することになります。

2. 債務整理を検討する

訴訟を起こされた分の他にも負債がある場合は、債務整理を検討した方がいいでしょう。

債務整理の方法は大きく分けて3つ、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」があります。

(1) 任意整理

債権者1社1社と個別に話し合って支払い方法を変更する手続です。

裁判所を通す必要はなく、整理したい債権者に対する債務だけを手軽に整理できるメリットがあります。

将来利息はカットできますが、債務残高を軽減することは基本的にできないので、支払い月額が大幅には減らないというデメリットもあります。

任意整理をするためには他の債権者への支払い月額も考慮しながら訴訟になっている債権者への支払い月額を決める必要があります。

全体の債権者と返済合意できるだけの経済的余裕がない場合は、早急に個人再生か自己破産を検討する必要があります。

(2) 個人再生

裁判所に申し立てることにより、債務総額が原則として5分の1に減額され、それを3~5年で支払っていく手続です。

自己破産の場合とは違って財産を処分する必要は必ずしもなく、職業制限もないのがメリットです。

既に訴訟を起こされている人にとっては、さらに大きなメリットがあります。

個人再生を申し立てて、開始決定が出れば、進行していた訴訟手続は停止します。

既に判決が確定して強制執行手続に入っていたとしても、強制執行手続も停止されます。

さらに個人再生手続が進み、再生計画が認可された後は、強制執行手続を取り消すことができます。

ただし、再生計画が認可されるかどうかについてはいろいろな要件がありますので、弁護士に相談して見込みを判断するのが望ましいでしょう。

(3) 自己破産

任意整理も個人再生も難しい場合は、自己破産の申立てを検討せざるを得ないでしょう。

近いうちに経済状態が劇的に好転する見込みがあるのであれば、給料などを差し押さえられながら粘るのもいいのかもしれません。

しかし、通常はそこまで追い込まれた生活をするよりは、自己破産を申し立てて再スタートを切る方が長い目で見れば健全な生活を送ることにつながるはずです。

ご自分のケースでどの債務整理方法が適しているのかについて、弁護士など専門家のアドバイスを聞いてみるのもいいでしょう。

3. 移送を申し立てる

移送申立書

話の方向は変わりますが、訴状を受け取ったら移送の申し立ても検討してみましょう。

移送の申し立てとは、例えば、東京の裁判所に提起された訴訟を、福岡の裁判所に移して審理してほしいと申し立てることです。

クレジットカードの支払いを請求する訴訟はほとんどの場合、債権者の本社の所在地を管轄する裁判所に提起されます。

利用者が福岡に住んでいて、福岡でカードを利用していたとしても、債権者の本社が東京にあれば、東京の裁判所に訴訟が提起されるのです。

しかし、一般市民である福岡在住のカード利用者が東京の裁判所に出廷するのは大変です。

そこで、移送の申し立てが認められています。

実は、移送を申し立てたからといって希望どおりに移送が認められることはあまりありません。

それでも、移送を申し立てると訴訟の進行が1~2か月間ストップします

移送の申し立ては時間稼ぎをするための手続ではありませんが、実際上は訴訟の進行がストップする1~2か月の間に対処法を検討できます

なお、訴訟で答弁をするとその裁判所に応訴管轄が生じてしまうので、移送の申し立ては答弁書を提出する前か、答弁書と同時に行う必要があります。

4. 時効を主張できる場合もある

クレジットカードの支払いを滞納した翌日から5年以上が経過している場合は、消滅時効が完成しています。

その場合は答弁書に「消滅時効を援用する」と書いて提出すれば、支払いを免れることができます。

消滅時効が完成していても、支払いを催促したり訴訟を起こしたりしてくるカード会社はいます。

債務者が時効を援用する意思表示をしない限りは法律上の請求権は消滅しないためです。

時効期間が経過しているからといって何もしないでいると、訴状に書いてあるとおりの内容で判決が下され、それが確定すると差押えを受けることになってしまうので注意しましょう。

架空請求に注意しよう

以上、クレジットカードを滞納して裁判を起こされたときの対処法をご説明してきました。

最後にもう1つだけ注意点があります。

それは、裁判を起こされたかのように見えて、実は架空請求である場合があるということです。

正式な裁判書類なのか、架空請求なのかは専門家が見れば一目瞭然なのですが、一般の方にとっては気が動転した状態で見分けがつきにくい場合もあるでしょう。

見分けるポイントはいくつかありますが、最も確実なのは、身に覚えのある債務かどうかということです。

それを見分けるためにも、請求書面が届いたら落ち着いて書いてある内容を正確に読み取ることが重要です。

架空請求は無視して構いませんし、無視すべきなのですが、不安な場合は国民生活センターに相談したり、弁護士の無料相談を受ければ安心です。

滞納で督促・裁判を起こされても時間の余裕はある

クレジットカードを滞納して裁判を起こされても、すぐに判決が確定して差押えを受けたりするわけではありません。

支払督促の場合は2週間、訴訟の場合は1か月~数か月は時間の余裕があります。

その間に落ち着いて対処法を考えれば、状況を改善できる方法がきっとあるはずです。

この記事がご参考になれば幸いです。(執筆者:川端 克成)

《川端 克成》
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川端 克成

川端 克成

約15年間弁護士をしていましたが、人の悩みは法律だけでは解決できないことに悩み続けて、辞めてしまいました。現在はフリーライターとして活躍中です。読んで役に立ち、元気が出るライティングをモットーに、法律問題に限らず幅広いジャンルで執筆しています。これまでの人生では、ずいぶん遠回りをしてきました。高校卒業後は工場などで働いて二部大学に入り、大学卒業後も工場で働いて司法試験の勉強をしました。弁護士を辞めた後も工場で働きながらライティングの修行を重ねました。そんな人生経験にも基づいて、優しい心を執筆を通じてお伝えするのが理想です。 寄稿者にメッセージを送る

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