相続手続きに取りかかる場合、細かいながらも必ず発生する費用があります。
何にどんな費用がかかるのかを事前にしっかり把握しておきましょう。
目次
預貯金の名義変更

1. 印鑑証明書の取得費用
まずそれぞれの預貯金口座につき誰が相続するかを決めるために、遺産分割協議書か、金融機関指定の支払同意書を作らなければなりません。
これらの書類は実印を押す必要があるので、印鑑証明書を各相続人が取る費用と、遠方に相続人がいる場合はさらに書類の郵送費がかかります。
2. 戸籍や住民票などの取得費用
金融機関では、請求者が本当に相続人であり、かつ他に相続人がいないことの確認のため、請求者の戸籍謄本と、被相続人の出生から亡くなるまでの全戸籍(除籍)と原戸籍謄本を求めます。
ところが被相続人が何度も転籍している場合だと、意外とこの費用が馬鹿になりません。
郵送費も含め、1万円ほどかかることもあります。
なお、金融機関は写しを取った後に原本を返してくれるので、1度これらの書類を取れば、複数の金融機関で使い回しが可能です。
ただし、書類によっては有効期限を設定している金融機関もありますので、効率よく手続に回りましょう。
3. 残高証明書の取得費用
遺産分割協議をする際、相続発生時点での各金融機関における残高をはっきりさせておいた方が良い場合には、金融機関に頼んで残高証明書を発行してもらいます。
費用は1通につき500円~1,000円程度です。
不動産の名義変更

1. 登録免許税
預貯金の場合と同様に、相続人と被相続人の戸籍謄本が必要ですが、写しと一緒に提出すれば原本は手続終了後に返してもらえます。
不動産の名義変更は法務局に申請します。
その際不動産の公示価格に応じた登録免許税を納めなければなりません。
相続の場合、不動産公示価格の0.4%が税額となります。
2. 司法書士費用
法務局への申請は相続人自身で行えば、登録免許税の他は交通費程度ですみますが、時間が取れなかったり手続きが面倒で分からない場合には司法書士に代行を頼むことになるので、その費用が別途かかります。
いくらかかるかは一概にいえませんが、数万円単位になることが多いです。
車の名義変更

1. 書類取得費用と経費
車も相続財産ですので、必要書類は預貯金や不動産の名義変更の場合と変わりません。
遺産分割協議書、被相続人の戸籍関連、相続人の戸籍や住民票、分割協議書に捺印した全員の印鑑証明書です。
同じ管轄内での名義変更であれば、管轄の陸運局に行って手続きを済ませます。
費用は車庫の移動がない場合登録手数料が500円、移動する場合は警察署での車庫証明取得費用がプラスされます。
だいたい2,500円から3,000円ほどです。
なお、管轄が変わる場合ナンバープレートを付け替える費用がさらにかかります。
だいたい1,500円前後です。
2. 行政書士費用
車の名義変更の代行は行政書士が行います。
1万円から3万円ほどが相場のようです。
時間とお金の準備が必要
主だった財産については名義変更をしないと相続することができないので、どうしても手間や費用がかかります。
心積もりをしておきましょう。
なお、相続人が1人しかいない場合や、故人が公正証書遺言で相続人を指定していた場合などは省略できる手続きもあります。
分かりづらいときは専門家に相談してみても良いでしょう。(執筆者:橋本 玲子)