10月から消費税率が8%から10%に引き上げられます。
これにより、新築マンションにおいては土地部分は非課税のため、建物部分が消費税率10%となります。
では、消費税率が8%の時に購入した方がお得なのでしょうか。
過去を振り返ると、1997年4月に消費増税率が3%から5%に引き上げられた時、2014年4月に消費増税率が5%から8%に引き上げられた時、大量の駆け込み需要が発生しました。
しかし、どちらの引き上げ後も駆け込み需要の反動からマンション契約率は低下、消費税率が8%になった時はすまい給付金も支給されたことから、結果的には8%時に購入しても大差ない結果となりました。
今回は、10月からの消費税率の引き上げを主題としつつも、過去の失敗からどう学ぶかを考えます。
目次
物件を買うなら増税前? 増税後?

消費税率が引き上げられるたびに、増税前と増税後ではどちらが得なのか、さまざまな方面から試算が公開されます。
それによると、すまい給付金の支給額が低所得者ほど多くなっていることもあり、消費税率10%時に購入した方が、年収500万円では数十万円得しますが、年収800万円と年収1,000万円では負担はほとんどかわらないようです。
そうなると、年収500万円の人はすまい給付金を狙って10月以降まで待てるかというと、気に入った物件が見つかると、ほとんどの人は上記のような損得勘定は忘れてしまいます。
物件とのめぐり逢いを大切して
しかし、新築マンション購入は一生に一度の買い物であり、気に入った物件が見つかり、住宅ローンなども無理がなければ、私は時期を選ばず購入すべきだと思います。
消費税率で得する金額は数十万、これは普通の買い物では大きいかもしれませんが、そこで居心地の良い時間が過ごせるのであれば、そちらの価値の方がよほど大きいからです。
従って、気に入った物件が見つかった時が最大の買い時で、その感覚は大切にしていただけたらと思います。
中古でも消費税がかかる場合がある
新築マンションは建物部分に消費増税の影響を受けますが、中古マンション(売主が個人の場合)は不動産業者の仲介手数料にかかる消費税率だけ8%から10%に上がります。
また、中古マンション(売主が個人の場合)購入には、すまい給付金はありません。
なぜここで中古マンションの話題を出したかと言えば、首都圏では新築マンションの値段が上がり過ぎて、中古マンションの人気が上昇しているからです。
リノベーション物件は新築と同様に増税

そして、最近の中古マンション購入方法として、リノベーションを行った物件が人気のようです。
ただ通常、リノベーション物件の場合は、先に宅地建物取引業者が物件を取得してリノベーションを行うため、売主は宅地建物取引業者となります(個人がリフォーム後に売却することもあります)。
そしてその場合、宅地建物取引業者が免税業者である場合を除いて消費税がかかるため、消費税率10%後では、通常の新築マンション同様に建物部分に消費税率10%がかかります。
しかし、その場合は拡充されたすまい給付金が利用できるため、宅地建物取引業者から中古マンションを購入した場合は、忘れずにすまい給付金の申請を行ってください。
消費税率が10%になっても、机上の計算どおりに負担がかからないのは、すまい給付金のおかげです。
新築マンションだけでなく、中古マンションも一定の場合は消費税の対象になることを理解し、まずは物件ありきで、良いマイホームを見つけてください。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)