今持っている100万円は明日になっても100万円だと普通は考えます。
確かにお金自体はそのままだと増えるわけでも減るわけでもありません。
しかし、投資の世界では違います。
投資では、基本的に運用して利益を得ることを目的とするわけですが、毎年2%運用益が欲しいと考える人なら今日の100万円は1年度102万円以上になっていないと価値が同じとは言えません。
これが貨幣の「時間的価値=DCF」(ディスカウントキャッシュフロー、以下DCFとする)の考え方です。
今回は、投資の勉強をする上で重要な考え方であるDCFの考え方についてお話したいと思います。

目次
インフレにより貨幣価値は下がる
よくニュースで日銀が「2%の物価目標を上げている」という話を耳にしたことがあると思いますが、簡単に言うと毎年2%のインフレ状態を目指しているということです。
インフレが起こるとお金の価値は下がります。
なぜなら、今日100万円で買えていたものが、1年後2%価格が上がれば102万円ないと買えなくなってしまうからです。
逆に、デフレの場合は物価が下がりますので、お金の価値は上がることになります。
お金の価値は時間によって変わっている
今手元に100万円を持っているとして、明日その100万円が105万に増えたりすることはありません。
しかし、経済社会の中では、今日100万円で買えた時計が、時間がたって1年後に買えるか保証は全くありません。
お金の価値は時間によって変わる、これを「貨幣の時間的価値」といい、投資の世界では重要な要素となってきます。

DCFの考え方を使ってその投資を評価する
そう考えると将来のお金と今のお金を比べる際には、インフレを前提とすると割り引いて考えないといけません。これがDCFの考え方です。
DCF法では、収益資産の評価方法のひとつで株式や不動産、企業の価値を計算する場合に用いられ、収益資産から将来得られる収益を割引して現在の価値に換算します。
本来非常に難しい計算式を用いて計算するのですが、今回はDCFの考え方を使ってその投資を評価する方法を簡単にご説明します。
投資を行う目的はやはり収益を上げる、資産を増やすということです。
先ほど出てきた物価指数2%以上は年間収益が欲しいと考えた場合、期待利回りは2%となります。
DCFの考え方
今手持ちの100万円は、毎年2%づつ増えていくとすると、
で3年後には106.1万円になっていないといけません。
DCFでは、この期待利回りを「割引率」と言います。
今回は2%としましたが、5%の利回りが欲しい人もいると思いますので、割引率は投資家によって変わります。
今回のケースでは、DCFの本来の考え方からいうと、3年後の106.1万円が割引率2%であれば今の100万円と同じという訳です。
3年後110万円になる投資であれば、利回り2%以上の投資が期待できるわけですから当然やるべきですし、それ以下になるようだと止めた方良いとなるわけです。
投資を始める第一歩としてDCFを理解しよう
何も勉強しないまま投資をすると失敗するリスクは高まります。
なぜなら投資している人の多くは、DCFなどのお金の知識を身に着けているからです。
DCFの考え方を身に着ければ自分がやりたい投資が自分の期待を上回るのかを判断することができます。
これだけではまだまだ勉強は足りませんが、投資を始める第一歩としてまずはDCFの考え方を理解しましょう。(執筆者:山口 智也)