「子供よりかわいい」
という方も多いことでしょう。
しかし、高齢者、単身者の中には「自分に何かあったらこの子はどうなるのだろう」との不安を抱きつつ飼っていたり、万一を考えペットを飼うこと自体諦めてしまったりという方がいます。
そのような方には、最近仕組みが整いつつある「ペットのための信託」が役立つかもしれません。
目次
ペットのための信託の仕組み

2007年に信託法が改正され、これまで信託銀行などしか行えなかった信託業務を、民事信託として他の会社や個人が行えるようになりました。
信託を一言で説明すると、
です。
ペットのための信託とは
これをペットにあてはめてみます。
飼主(委託者)は、信頼できる親族など(受託者)に自分の預貯金の一部を名義変更の形で信託します。
委託者に何かあった場合、受託者は委託者のペットを事前に決めておいた預託先(動物愛護施設やペットをみてくれる個人宅など)に連れて行き、世話をしてもらいます。
ペットにかかる費用を受託者が信託された財産から支払い続けるという形がペットのための信託業務です。
他にも色々なパターンがあります。
遺言でも同じようなことができるのでは、と思う方もいるでしょう。
しかし、遺言はあくまでも自分が亡くなった後のことしか書けません。
メリット:契約内容を話し合える

信託にすると、飼主が例えば認知症になってペットの面倒がみられなくなった時や、施設に入らなければならなくなった時にすぐ業務をスタートできます。
また、信託は契約なので、内容を委託者と受託者が話し合い、自由に決められます。
あらかじめ十分な額を信託しておき、ペットが天寿を全うした後に残った金銭をどうするかというようなことも決められます。
これらが主なメリットです。
デメリット:受入れ先確保の難しさ
デメリットとしては、何といってもペットの受入れ先を探すのが困難な場合があるということです。
ペットのための信託を扱っている保険会社や法律の専門家もいますが、彼らの主な業務は受託者として信託契約を締結することです。
愛護施設と提携しているところもありますが、すべての種類の動物を引き取ってくれるわけではありません。
その場合、信託前に飼主が自ら預託先を探さなければなりません。
費用については、専門家に契約締結を頼めばその分の費用と、信託できるある程度まとまった財産が必要です。
ただし、遺言であってもペットのために別途財産を遺すであろう点では変わりませんから、特にデメリットとまでは言えないでしょう。
今後の発展が期待されるペットのための信託
ペットのための信託はまだ始まったばかりです。
今後、ペットの受入れ先が増えてくれば、デメリットは徐々に減っていくでしょう。
最後まで安心してペットと暮らせる社会を、信託が気楽に活用できるようになることで実現できるとよいです。(執筆者:橋本 玲子)